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藤井聡太はもはやAIを超えたのか? 衝撃の一手「△3一銀」を振り返る
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakashi Shimizu
posted2020/09/09 20:30
今や史上最年少での「二冠」となった藤井聡太七段(当時)。
プロの新しい共通認識は、「堅さよりバランス」
その藤井七段を迎え撃つ木村王位は「千駄ヶ谷の受け師」という異名を持つ。
元奨励会員で競馬ジャーナリストの片山良三氏は、NumberWebの記事「ただの将棋の強いおじさんではない。AI時代にすり寄られた木村一基王位」のなかで、次のように木村王位の棋風を紹介している。
<高勝率を残す棋士といえば、鋭い攻めで相手をなぎ倒すタイプが断然多いのだが、木村の将棋は最初から違う。
あえて薄い玉形に構えて、相手の攻めを受け止め、反撃に転じるのが木村流。しかも、パンチをしっかりと浴びて倒れそうになることもしばしばあるのだが、そのたびに絶妙のバランスで踏みとどまってみせるのだ>
以前は王様の守りに関して、「堅さ」が重視され、木村王位のような「バランス重視」は主流ではなかった。しかし、AIの影響が大きくなるにつれ、<プロの新しい共通認識は、「堅さよりバランス」>になったのだという。
同記事のなかで、渡辺棋聖の言葉が紹介されている。
<「木村さんは昔から指し方を変えていません。リスキーで損な指し方と言われていたこともありましたが、いまはAIに最も高く評価されている棋士です。言ってみれば、時代が木村さんにすり寄ってきたということですね」は渡辺三冠の至言>
今回の王位戦はまさに現代将棋に最も適応した2人の対決だと言えるだろう。