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藤井聡太はもはやAIを超えたのか? 衝撃の一手「△3一銀」を振り返る
posted2020/09/09 20:30
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takashi Shimizu
第61期王位戦(新聞三社連合主催)七番勝負第1局が7月1、2日に行われる。
現在、渡辺明棋聖(棋王、王将=36)との棋聖戦五番勝負にも登場している藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に挑む。
6月28日に行われた棋聖戦第2局では、藤井七段が指した58手目の「3一銀」が話題となった。プロ棋士たちの検討ではあまり挙がっていなかった手で、指された直後には「えっ」という声が控室に響いたという。
しかし、この「3一銀」が妙手だった。対局相手の渡辺棋聖は自らのブログに次のように書いている。
<感想戦では△31銀の場面は控室でも先手の代案無しということでしたし、控室でも同じように意表を突かれたと聞いて、そりゃそうだよなと納得したんですが、いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした>(「渡辺明ブログ」6月28日付)
最強ソフトが6億手読んで分かった手を……
結局、藤井七段が勝利をおさめるわけだが、対局当日の夜につぶやかれた1つのツイートが将棋ファンに衝撃を与えた。
現在、AIを使った将棋ソフトがプロ棋士の実力を上回っているのは周知の事実だ。そんな将棋ソフトの「最強」を決める世界コンピュータ将棋オンライン大会で今年優勝した「水匠」の作者・杉村達也氏がこうツイートしたのだ。
<本日の棋聖戦の藤井七段の58手目3一銀は、将棋ソフト(水匠2)に4億手読ませた段階では5番手にも挙がりませんが、6億手読ませると、突如最善手として現れる手だったようです>
最強ソフトが6億手読んで初めて最善手と分かる──そんな手を藤井七段はわずか23分の考慮時間で指していた。