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ラグビー日本代表の“代役”はどの国に? スクラム自慢の東欧の雄、W杯王者という憶測も
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/09/10 08:00
ジョージア代表の2019年W杯での成績は1勝3敗。熊谷でのウルグアイ戦では巨漢FWが奮闘して勝利を収めた。
イタリアに敗れ、昇降格案が立ち消え
ジョージアは欧州ラグビー界で事実上シックスネーションズに次ぐ2部リーグとされる、欧州チャンピオンシップの優勝常連国としての地位を確保し続ける。一方でシックスネーションズには、万年最下位の座に甘んじ、現在も大会25連敗という記録更新中のイタリアがいる。シックスネーションズに入替戦などの昇降格制度を導入すべきだというのはフェアな意見だろう。
それに断固として昇降格制度を否定するのは、シックスネーションズの大会主催者だ。
そこで、世界のラグビー界の圧力と期待に応えるべく、'18年11月にイタリアのフィレンツェでイタリアvs.ジョージアの秋の代表戦が行われた。
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しかし、この注目の一戦にジョージアは28-17と競り負けてしまった。
毎年、冬のテストマッチで全勝するジョージアと、同時期に全敗するイタリアだけに、ワールドラグビーのランキングではジョージアがイタリアを上回り続ける。こうした背景もあり、ジョージアラグビーは世界に向けてシックスネーションズの昇降格制導入議論を投げかけてきたが、このイタリア戦に負けたことにより、主張は一気に説得力を失ってしまった。
W杯後は内輪揉め、ビジネス面でも旨みが……
'19年W杯後には、ジョージアラグビー協会の組織改編に伴う内輪揉めと、役職決定への難航も問題視されていた。
さらには、これまで冷遇を続けてきたシックスネーションズが「日本がエイトネーションズへの参加を断念したから」、仕方なくジョージアを呼ぶという流れに、反発の声を発するファンも数多くいる。何とかこの大会に参加することができたとしても、欧州最高峰の強豪を相手にジョージア代表としていい戦いをする準備はできるのか、という疑問も拭えない。
なにより、エイトネーションズ大会実行委員会としては興行収入を考えない訳にはいかない。日本の代わりにジョージアが参加するというシナリオでの収益を本格的に見積もり、頭を抱えたことだろう。
そもそも、シックスネーションズ側がジョージアを入れたがらない理由の1つに、ビジネス面での旨みの無さという明らかな問題があった。イギリス、フランス、イタリア、アイルランドに比べて経済規模が決定的に小さいジョージアを入れると、大会の興行収入が大きく下がるのは明らかだ。それは、エイトネーションズにしても同じだ。
この点ではフィジーも同様の問題を抱えるが、欧州のラグビーファンたちはフィジー代表のエンターテイメント性の高いプレースタイルをよく知っており、集客力には定評がある。地味な肉弾戦を得意とするジョージアにとっては、この点でも不運だった。