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通算600勝よりも意識した599勝目。
栗山監督が根本陸夫から学んだもの。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2020/08/30 09:00

通算600勝よりも意識した599勝目。栗山監督が根本陸夫から学んだもの。<Number Web> photograph by Kyodo News

8月15日ロッテ戦で監督通算600勝を達成した日本ハム・栗山監督。

2年前、根本氏の自宅を訪問。

 それから何年もの時を経て、今から2年前の2018年8月に「再会」する縁に恵まれた。ビジターでの埼玉西武ライオンズとの試合前のことだった。宿舎からメットライフドームへ向かう途中、少し寄り道をして根本氏の自宅を訪問した。根本氏と親しかった新聞記者の方の紹介で、実現した機会だった。

 根本氏の夫人と、生前の根本氏を知る側近の男性2人に迎えられた。栗山監督は、正装のユニホーム姿だった。いろいろと、思いを馳せながら根本氏の実像を聞いた。貴重な時間を過ごしたのである。

 側近の2人によると、根本氏は有志で車座になって夜を徹して、野球談義に没頭したり、自身の高いステータスに関係なく、いろいろな人の考えに耳を傾けていたそうである。これは一例だが、数々の逸話を、根本氏を知る方々から明かしてもらって聞き入った。約30分間、語り部を通じて降臨した根本氏と「再会」できたのである。

「野球人の言うことは聞くな」

 栗山監督の胸に刺さった名言の1つが「野球人の言うことは聞くな」だったという。同様に、異分野の方々と積極的に会い、話を聞いて、インスパイアされてきたのが栗山監督である。斬新な手段でチーム、1試合1試合を大胆にマネジメントするスタイルも似ている。根本氏の野球人としての思想や発想に年々、強く共鳴していったのである。

 根本氏の無二の親友だったのが、栗山監督が現役を過ごしたスワローズ時代の監督で恩師の関根潤三氏。ことあるごとに根本氏の豊かで魅力あふれる人間性を教えてもらい、想像も膨らませていた。栗山監督自身の野球観、姿勢を重ね合わせていただけに、答え合わせの時間になった。

「根本さんから学ばせてもらったのは、それこそ男の度量だと思う。今でも雲の上の存在だけれど」

【次ページ】 札幌ドームの監督室には……

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