マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園で最注目だった野手はこの男。
仙台育英・入江大樹の“低めのツボ”。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/08/27 07:00
遠目にもひと目でわかる入江大樹の雄大な構え。その雰囲気も大打者の要素の1つだ。
期待通りの成長曲線をたどって。
「いやいや、上林の精度にはまだ届いてませんよ」
須江航監督は控えめだが、入江大樹の成長ぶりには脱帽のようだ。
「2年生の時はこうなってほしい、3年になったらこれぐらいのレベルになってほしい。そう思っていたその通りの伸び方をしてくれたと思います。まだまだ成長できるだけの余力を持ってる子ですし、見た感じそんなにガツガツして見えなくても、実は、もっと上手くなりたいって欲求をものすごく持ってるヤツですよ」
確かに、長い両腕とバットの長さがじゃまをする内角高目などは、まだちょっと窮屈そうに打っているが、体のタテ軸でクルッとヘッドを回してさばいてしまう技術も時々見せてくれて、そこはファールにして、ツボを待てばよい。
興味深い個性が開花目前だ。
フィールディング、バッティング、その両面にわたる達者なハンドリングを武器にした大型内野手。今なら誰だろう、ソフトバンク・内川聖一なのか……。
いずれにしても、今までの日本の高校球界にいなかったとても興味深い個性を持った大型遊撃手が、開花目前になっている。