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打っても守っても“超”がつく一流。
東海大相模・山村崇嘉は坂本勇人だ。

posted2020/08/26 17:00

 
打っても守っても“超”がつく一流。東海大相模・山村崇嘉は坂本勇人だ。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

山村嘉崇は東海大相模のキャプテンでもある。いったいいくつの才能を持ち合わせているのだろうか。

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Naoya Sanuki

「甲子園交流試合」が6日間の日程を終えた。 

 春のセンバツに出場権を持つ32校が、各校1試合ずつ戦った今回の「交流試合」。

 昨年夏の決勝の再戦となった履正社vs.星稜の組み合わせにも驚いたが、東海大相模vs.大阪桐蔭の一戦を「もっとも興味ある闘い」に挙げる向きも同じくらい多かった。

 全国有数の両チーム強打線にずらりと居並んだ超高校級スラッガーたちが、渾身のフルスイングで長打を打ち合う壮絶な打撃戦になるのだろう……などとてっきり思っていたが、野球はそこまで“単純”な競技ではなかった。

 東海大相模・石田隼都(2年・183cm76kg・左投左打)、大阪桐蔭・藤江星河(2年・178cm74kg・左投左打)という両チームの左腕投手の奮投に、強打線がなかなか火を噴かない。

 たった1試合の「甲子園」、思い残すことがないようにとブンブン振ってくるややオーバースイング気味のフルスイングが、インパクトの精度をいつもより低くしている。結局、両チーム合わせてヒットは12本。試合は4-2で大阪桐蔭が逆転勝利した。

 東海大相模・石田隼都、大阪桐蔭・藤江星河。両左腕の持てる力をすべて発揮したような奮投が印象に残る一戦となった。

まさに逸材、東海大相模の山村崇嘉。

 その試合にも出場していた東海大相模・山村崇嘉(3年・180cm85kg・右投左打)の「大人」のようなバッティングのすばらしさについては、以前もベタベタに褒めちぎったことがある。

 投じられたボールを長く見て、追いかけることがない。自分のゾーンに入り込んできたボールを、自分のタイミングと距離感で正確に捉え、バットヘッドが長く走るレベルスイングであっという間に外野深くへ運んでしまう。

 松中信彦(元ソフトバンク)のような、もっとさかのぼれば吉村禎章(元巨人)のような、プロ野球でホームラン王も首位打者も狙える才能を備えた逸材、と表現したように思う。

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