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大谷翔平が語った右腕の状態。
「スピードは出ていたと聞かされて」
posted2020/08/24 15:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Getty Images
野茂英雄が海を渡ったのは1995年、26歳のときだった。
そして2020年、大谷翔平は7月5日に26歳の誕生日を迎えた。
野茂とは異なり、大谷は26歳にしてすでにメジャーリーグで3年目。日本から投打の二刀流という新たな価値観を持ち込み、今シーズンのメジャーでは「二刀流枠」が新設されるに至った。野茂が開けた扉の向こうで大谷もまた、パイオニアとして次々に壁を打ち壊している。
その大谷の二刀流が、なかなか思い通りに進まない。
8月2日、今シーズン2度目の登板は2回途中でマウンドを降りた。この試合で最速156kmを計測していた球速は、最後の打者に対して突如140km台前半にまで低下。降板後に右肘の違和感を訴え、病院に直行してMRI検査を受けたという。
結果は回内屈筋群の炎症で、今季の登板は絶望的になってしまった。開幕早々の誤算に、さすがの大谷も落ち込んでいるのではないか――。
抑えたい気持ちで段階を飛ばしてしまった。
しかし、降板の1週間後に行ったオンライン取材で、大谷はすっかり落ち着きを取り戻しているようだった。
「オープン戦やマイナーのゲームなら勝ちを意識することはありませんから自分の感覚に従って投げればいいんですけど、勝たなければならない公式戦で、相手バッターがいて、何とか抑えたいという気持ちの中、本来、踏むべき段階を越えた力を出してしまったというのはあったかもしれません。
僕には97マイル(約156km)を投げている感覚はなかったんですけど、あとからスピードは出ていたと聞かされて、ビックリしました。」