低音が「あきらかに変わりましたね」。

　そんな過去最高の盛り上がりを生んだ秘密がもう1つある。

　ほとんどの来場者は、友人や家族とおしゃべりしたり、コート上のできごとに集中しているから気がつかなかったかもしれない。

　実は、昨シーズンの目に見えない改革のなかで、それまでとは明らかに変化があった。

　ズボンやスカートを揺らしてくるアリーナになっていたのだ。

　秘密は、新たに設置した「ウーファー」にあった。ウーファーというのはいわばスピーカーの一種で、低音をしっかり伝えるための装置だ。この低音が大きな揺れを生んでいた。

　実力のあるバンドのライブや、音の反響をきちんと考えられたホールやライブハウスでは、その音が服を揺らすのを感じることができる。

　でも、Bリーグの会場で、そこまでしっかり響かせていたところがほかにあっただろうか。

　東岡は、アリーナDJのセク山や、スチャダラパーのスタッフからこう言われた。

「あきらかに変わりましたね」

「音のバランスが取りやすくなりましたよ」

　音を扱うプロには、一瞬でわかる変化だ。あの7分間を際立たせる隠し味になった。

気づかなくても、身体は揺れている。

　多くのファンは音楽の専門家ではないから、そんなところには気がつかなかったかもしれない。

　でも、あの揺れは、身体に刻まれているはずだ。

　とどろきアリーナは楽しい。また試合を見に行きたいな。

　そんな記憶とともに。

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