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短縮シーズンと快記録の可能性。
MLB、打率4割や防御率0点台は──。
posted2020/08/15 11:40
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
年間60試合のシーズンというのは、なんとあわただしいのだろう。
開幕が7月23日で、レギュラーシーズン最終戦が9月27日。8月8日現在で見ると、新型コロナウイルス感染の影響で5試合しか消化できていないチームもあれば、すでに16試合を消化したチームもある。
10勝ラインに到達したチームも、少なくない。
カブス、ツインズ、アスレティックス、ロッキーズ、ドジャース、ヤンキース。ロッキーズはやや心もとないが、他の5球団は「ポストシーズン進出」をいまから視野に入れているにちがいない。ブレーヴス、パドレス、レッズ、ホワイトソックスなどにも、まだまだ浮上の余地が残されている。
「60日間4割打者」のリストを見ると……。
それはともかく、60試合の短縮シーズンでは、意外な記録が生まれるかもしれない。
期間が短いだけに、偶然を味方につけると、とんでもない数字が飛び出す可能性があるのだ。意外な場所から、4割打者や防御率0点台の投手が出現しないとも限らない。
などと考えていたら、FanGraphs というサイトに面白いリストが見つかった。60-game span leaderboards というタイトルで、読んで字のごとく、60試合のスパンで、過去にどれほど驚くべき記録が生まれたかがリストアップされている。
たとえば「60日間4割打者」のリストを見ると、真っ先に眼を惹くのは1980年のジョージ・ブレットだ。この年、最終的に3割9分の打率を残したブレットは、5月27日から8月27日までの60試合で、実に4割7分3厘の高打率を残している。
2004年に年間262安打の大リーグ記録を樹立したイチローも、あの夏は破竹の進撃だった。
7月1日から9月6日までの60試合で、4割5分8厘(264打数121安打)。ヒットパレードという言葉は、彼のために存在するのではないかと思ったことを記憶している。