サッカー以外における機会の創出を。

　しかし一方で、足りないものも見えてきた。

　全員がサッカー選手を目指しているわけではない。スクールには女の子もいる。「ドリーム」を謳いながら、サッカー以外における機会の創出を提示できていないのではないか、と思い始めた。

　二村は青年海外協力隊時代、ウガンダでシングルマザーの自立に力を入れていた、

「ウガンダのレザーとアフリカの布を使った製品をつくって日本に売るんですけど、カッターは押して切るんじゃなくて引いて切るんだよってところから始めました。単純な計算ができないお母さんもいました。

　それでも2年間で自立できていましたし、きっかけさえ与えてあげればいいという成功例が自分のなかにはありました。

　それに、この活動に賛同してくれているパートナーさんのなかから『本田選手の知名度とそれに伴うメディア露出だけでスポンサードしていくのは難しい』という声もいただいたこともあってこれだけでは不完全なプロジェクトと言わざるを得ませんでした」

ケニアの子供たちにプログラミング教室を開催。

　サッカー以外の選択肢でも夢を持ってもらうために――。

　考えついたのが仕事体験。パートナー企業の協力も見込めるとあって、すぐに実現に動いた。

　プログラミング教育を実施するパートナーと一緒になって、ケニアの子供たちにプログラミング教室を開催。反応が良かったことから、継続的に指導できる環境を整えている。

「サッカー以外の才能育成に惹かれた」ことで昨年からアフリカドリームサッカーツアーのスタッフに加わったのが土屋だった。

　彼は日本サッカー協会の指導者B級ライセンスを保持しており、青年海外協力隊でもサモアで子供たちに教えてきた実績があった。

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