甲子園の風BACK NUMBER
花咲徳栄、大阪桐蔭、東海大相模……。
今年の夏はリモートブラバン甲子園!
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2020/08/09 20:00
花咲徳栄高校吹奏楽部の練習風景。フルートは、楽器の口を当てる部分に手作りのフェイスガードを付け、打楽器はマスクをして演奏。
「同級生が野球部で、甲子園で応援したかった」
同校の野球応援の段取りは……まず野球部から選手ごとの応援曲リストが吹奏楽部に届く。吹奏楽部側で楽譜を用意し、球場で演奏する際には、野球部の控え部員が、試合状況を見極めながら曲目ボードを掲げ、選手ごとの応援曲以外に、「ヒットのときの曲」や「チャンステーマ」などの指示を吹奏楽部に出す。
今回のリモート応援では、野球部が不在のため、吹奏楽部の生徒がこの重要な役割を担うことに。
担当するのは、加藤優菜さん(3年)で、普段はバスクラリネットを吹いている。野球は好きだが、細かいルールはわからないため、指示を出すルールやタイミングを野球部に聞いて覚えた。
「3年間とも野球部は甲子園に行っているのに、去年はコンクールがあってわたしは甲子園に行けなかったんです。今年も行けないので、甲子園で演奏出来たのは1年生のときだけ。実は、一緒に入学した中学の同級生が野球部で、いつか甲子園でその友達を応援したいとずっと思っていたんです。それが叶わなくなったので、先生から『リモートで応援する』と聞いたときはびっくりしたけど、とてもうれしかったです!」(加藤さん)
学校独自の伝統曲も甲子園の定番曲も。
花咲徳栄は、球場では生徒が指揮をするのが伝統で、今回はオーボエの色摩姫乃さん(3年)が担当する。
「テレビ中継を見ながらの指揮なので、タイミングがぴったり合うかどうかはわからないけれど、選手たちに気持ちが届くよう、しっかり指揮をしたいです」(色摩さん)
応援曲のレパートリーは約90曲。今回は約30曲を演奏予定だ。伝統的に初回の攻撃時に演奏するのは、『オーメンズ・オブ・ラブ』。T-SQUAREのヒット曲で、吹奏楽界でも人気の楽曲だ。もともと兄弟校の埼玉栄高校が応援に使っており、花咲徳栄でも取り入れるようになった。
ほかには、強打者に使う『サスケ』や、高校野球応援の定番人気曲『アフリカン・シンフォニー』『ルパン三世のテーマ』『さくらんぼ』、野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』(パワプロ)の曲などが並ぶ。