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ダルビッシュの自信、マエケンの緊張。
MLB、波乱含みの開幕レポート。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2020/08/01 11:50
前田健太ほどの投手でも、やはり4カ月の空白の後には緊張するという。
前田健太「久しぶりに緊張する時間」
試合は呆気なかった。初回に6番ケイブの満塁本塁打で4点を先制したツインズは、続く2回にも打者一巡の猛攻で5点を奪って9-0とし、早々に勝負を決めた。前田健太は5回2失点で勝利投手になっている。
「……暑かったですね、湿気もありましたし。いつもよりペース配分を早めにというか、点をたくさん取ってもらったので、少し飛ばし気味に投げたところもありました。走者を溜めるとか、点を取った後に長い守備にしてしまうと流れが悪くなってしまうので、長いイニングを投げるというよりも、序盤をしっかり押さえることを意識して投げました」
オンライン会見の前田健太はそう淡々と話した。試合開始時間には31度前後だった気温が、味方の攻撃が長引いている間に35度近くまで上昇した。それでも彼はスライダー、カッター、チェンジアップを次から次へと繰り出し、、相手がスピードを殺した球に的を絞ったところでドンと速球を投げ込んで、6三振を奪った。
「緊張しましたね。(開幕が約4カ月遅れて)緊張のない時間、緊張のない日々が長すぎて、久しぶりに緊張する時間が戻って来たんで、いつもより緊張した」
こぼれ話は微笑ましいが現実もある。
新型コロナ・ウイルス対策で遠征そのものがリスクになる中、ツインズはカブスとのオープン戦を含め、この日で6日間、シカゴに滞在していたことになる。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のプロトコル=指導により、外食は基本的に自粛しているそうで、前田は「(自炊のための)グッズをいろいろと持ってきた」と明かした。
「小さな鍋で蕎麦を茹でたり、炊飯器で米を炊いたりしてましたね」
微笑ましい「こぼれ話」ではあるが、これが現実なのだ。
シカゴに本拠地を置く両リーグの人気球団が開幕シリーズを戦った陰で、ブルージェイズは地元トロントでのホーム試合開催や、代替案であるパイレーツの地元ピッツバーグでのホーム開催を、カナダ政府やペンシルバニア州によって拒否されていた(結局はブルージェイズのAAA級マイナー球団の本拠地ニューヨーク州バッファローに落ち着いた)。