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ダルビッシュの自信、マエケンの緊張。
MLB、波乱含みの開幕レポート。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2020/08/01 11:50
前田健太ほどの投手でも、やはり4カ月の空白の後には緊張するという。
話し方が、去年の6月に似ている。
彼の話し方がどこか懐かしかったのは、それが去年の6月ぐらいの感じに似ていたからかも知れない。去年の6月、彼は「投球フォームがほとんど変わってない」というほど良い状態にあったが、それが「高い奪三振率と低い与四球率」という投手にとっての最高の形に繋がるまでには、少し時間がかかった。
「(投球フォームを)バラしたつもりはないけど、勝手にバレてくることがある。キャンプの途中からちょっと一体感がないというか、そういうのがあったんですけど、ちょっとずつパズルを合わせていくというか、たまたまこの間、ノートを見返した時に、一番最初に身体のどこから動くっていうのを(去年の)8月ぐらいに書いていたんで」
今年は取材申請も実際の取材も様変わり。
今シーズンはたった60試合、先発投手にとっては最多でも12試合前後しかない先発の1つが上手くいかなかったのだから痛手には違いないが、『去年ほどは時間がかからないだろうな』という希望的観測を持ちつつ、原稿を書き終えた。
ちょうどその頃、ホワイトソックスの広報から、「明日のツインズ戦における、あなたの取材申請は許可されました」というメールが届いた。
新型コロナ・ウイルス対策で、今年はカブスもホワイトソックスも普段はほぼ満席の取材席を半分程度に抑えるように取材証の数も限定している。いつもならどこの球場でもフリーパスのBBWAA(全米野球記者協会)カードも今年は無効となり、取材申請も今は各球団ではなく、メジャーリーグ機構(MLB)が管理している。
ただし、各球団によって決まりごとは違っていて、たとえばカブスの本拠地リグリーフィールドは試合開始の4時間前には開場するが、ホワイトソックスの本拠地ギャランティーレイト・フィールドは2時間前にならないと開場しない。いつものシーズンなら観客がやってくる時間帯とがっつり重なる時間帯だが、無観客なので問題はない。
そもそも3月半ばに経済活動が制限されて以来、シカゴ市内の交通量は大幅に減少し、週末ともなると不気味なぐらい閑散としている。それは7月26日の日曜日も同じで、ホワイトソックス対ツインズのシリーズ最終戦の開始2時間前、高速道路を走る車は極端に少なく、野球場の駐車場もガランとしていた。