野球善哉BACK NUMBER
秋山翔吾がメジャーで一番変えた事。
「日本にいる時よりバカやってます」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byAFLO
posted2020/07/30 17:00
孤高のイメージが強かった秋山翔吾だが、メジャーではより積極的にコミュニケーションを取っている。
メジャー移籍の理由は柳田や坂本?
しかし現実に、秋山はメジャー移籍を決断した。その決断に納得したのは、ラジオ番組での発言を聞いた時だった。秋山は番組内で決断理由をこう話した。
「柳田や坂本がいっていない舞台でやってみたら、彼らに追いつけるのではないかと思った」
1988年生まれの秋山は、いわゆる「プロ野球豊作世代」の1人だ。同学年には田中将大(ヤンキース)を始め、前田健太(ツインズ)、坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)ら、タイトルホルダーがズラリと並ぶ。
その中で秋山は、どちらかというと地味なイメージの選手だった。世界へ羽ばたこうというタイプには見えなかった。一方で生粋の努力家であり、自分を高めていこうという意志の強さは際立っていた。
だから、ラジオ番組での言葉で腑に落ちたのだ。
自分を高めていくための挑戦ならば合点がいくというものだ。
自分に起きる変化を楽しみに。
そして、入団会見の際には「挑戦」の意義についての質問にこう返している。
「同じ環境に身を置いていたら、見える景色もやらなきゃいけない仕事も変わらなかったと思う。向こうに行ったら、言葉のこと、生活環境、日程もそうだし、同じスポーツをやっていても異なるところが多いと思う。
変化の中で自分がどれだけ対応できるのかは、今まで野球をやってきた以外のところの許容度だったり幅は広がる。それでいい結果に結びつけたいという気持ちがある」
秋山は今年で32才になる。本人は、それを挑戦のためのギリギリの年齢と捉えている。単に「メジャー挑戦」というだけでなく、いろんな意味で分岐点を迎えているという意識があるのだろう。ここからパフォーマンスを落としていく選手もいれば、更なる成長を見せる選手もいる。
秋山は最多安打の記録保持者として日本で生きていくこともできたが、誰も自分のことを知らない世界に足を踏み入れること、もっといえば坂本や柳田が経験していない舞台にで「成長」「進化」することを目指したというわけである。