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巨人・増田大輝、“神走塁”の背景。
鳶職と「観察、準備、決断、実行」。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2020/07/24 11:50

巨人・増田大輝、“神走塁”の背景。鳶職と「観察、準備、決断、実行」。<Number Web> photograph by KYODO

7月19日のDeNA戦、丸の内野安打の間に増田(左)は二塁から本塁に突っ込み、同点のホームインという“神走塁”を見せた。

代走の使命は「早く、確実に」。

 絶対に盗塁を成功させなければならない場面というのはある。

 そのための代走が起用されたときには、打席の打者はある程度、ストライクゾーンを絞って走るのを待たなければならない。だから逆に代走は早いカウントで走らなければ意味がないし、しかも焦って走って失敗したら元も子もない。

 早く、確実に盗塁を成功させなければならない。それが代走の使命なのである。

「神走塁」のあったDeNA戦で決めた二盗は4球目。実はこの4球目というのは今季、増田が成功させた6盗塁で、最も走るまでに球数を要したケースだった。

鳶職につきながら、草野球をする生活。

 今季初盗塁となった6月25日の広島戦では9回無死一塁から代走に起用されて2球目に二盗に成功。7月2日のDeNA戦は2対1の8回1死一塁からの代走で初球に走ってダメ押し点を引き出した。

 また12日のヤクルト戦でも1点を追う9回無死一塁で代走で起用されると、1死から盗塁のサインが出て大城卓三捕手の初球にすぐさま走っている。

 今季の失敗は7月23日の中日戦での1回だけ。増田はここぞの場面で代走に出てきて、相手バッテリーが警戒する中でも早いカウントで仕掛けて盗塁に成功してきた。

 増田の走塁のスペシャリストとしての真骨頂は、実はそこにあるのだ。

 徳島の名門・小松島高校ではキャプテンを務めて、近大に進学したが中退。その後は地元に戻って鳶職につきながら、草野球をする生活を続けていた。

 それでも野球への思いを断ち切れず、2013年に四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスのテストを受けて入団。'15年の育成枠で巨人に入団した。

【次ページ】 「タカヒコくらいにはなっているかも」

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