脇坂らが“ゴール前”に専念できた。

　右エリアでの組み立ての変化を、脇坂はこう振り返った。

「（センターバックが）ジェジエウの時は、（受け手の）自分たちやアキさん（家長昭博）に相手の目線を集めることが大事でした。ショウゴさんが相手の目線を集めてくれて、“自分たちは背後を取りにいって良いかな”と、前半途中から感じていました。前目にポジションを取れば、ショウゴさんが（ボールを）運んでくれるので。もし詰まったとしたら、下がればいいですし」

　ボールを巧みに動かし、ゲームも作れる谷口の存在により、中盤の受け手はゴール前で背後を取る駆け引きに専念できたということだ。

　実際、先制点を生んだCKの流れも、谷口から家長への縦パスが入り、そこから粘ったレアンドロ・ダミアンがシュート性のクロスを放ち、CK獲得につながっている。

　車屋紳太郎も同様だ。

　左利きなので左サイドを使うときの配球の質が高く、組み立ての感覚も抜群だ。広い視野でライン間を飛ばすボールも自在に出せる。

　またサイドバックが本職のため、ボールを前に運ぶ作業もスムーズ。パスでプレッシャーを回避するだけでなく、ドリブルという選択肢で相手のマークを剥がせる。

　こうして最終ラインに2人の司令塔がいるかのように、川崎は試合のイニシアチブを握った。守備面で見ても前半は相手ワントップのオルンガにボールをほとんど入れさせていない。後半は押し込まれた時間帯もあったが、3-1で完勝している。

熊本の後輩・一美とのマッチアップ。

　続く第5節の横浜FC戦。

　この試合はセンターバックの熊本兄弟が、大津高の後輩FW・一美和成を迎え撃つ構図とも言えた。なお3人の地元である熊本県は豪雨災害に見舞われていることもあり、試合に向けた車屋はこのマッチアップで「元気を届けたい」とコメントし、こうも意気込んでいた。

「大変な思いをされている方も多いと思います。前の地震でいまだに苦しんでいる人もいますし、そういう人に元気が届けられるように。大津の後輩である一美と初めてマッチアップするので、熊本の人に楽しんでもらえる良い機会だと思ってます」

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