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愛する家族を守るためならば。
MLB出場辞退に疑問の余地はない。
posted2020/07/05 11:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
難航した交渉の末、ようやく7月下旬(23日または24日)の開幕が決まったメジャーで、今季はプレーしない選択をする選手が相次いだ。
通算105勝を挙げているダイヤモンドバックスのマイク・リーク投手をはじめ、昨季世界一のナショナルズでは、通算270本塁打のライアン・ジマーマン内野手と先発候補のジョー・ロス投手、さらに球宴出場2回の経験を持つロッキーズのイアン・デスモンド外野手が、新型コロナウイルスの感染拡大への不安などを理由に、今季の出場を辞退する意向を発表した。
今季の開催にあたり、MLB機構は過去の病歴などから重症化するリスクの高い選手が辞退した場合、年俸と登録日数を保証する方針を決めたが、今回の4人は該当せず、無給となる。それでも、彼らは幼い子供たちや妊娠中の妻、高齢の家族への感染リスクを回避するため、プレーしないとの決断を下した。リークの代理人が「マイクにとって簡単な決断ではなかった」との声明を発表したように、それぞれ断腸の思いだったに違いない。
OBから「黙ってプレーしろ」の声も。
機構と選手会の間で交渉が長引いていた時期、一部の球界OBからは「黙ってプレーしろ」など、批判的な意見が聞かれた。「ファンのため」「野球を待ち望んでいる子供たちのため」などのフレーズが使われ、プレーすることを選手としての義務や美徳として捉える風潮が漂っていた。
その一方で、米国内の状況は徐々に変わった。3月のキャンプ中止以来、3カ月が経過してもコロナ禍は終息へ向かうどころか、爆発的に拡大し、6月下旬は全国で1日平均4万人前後の新感染者が確認されるなど、危機的状況に陥った。
メジャー球団が本拠地を置くフロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアなどで連日、最多記録を更新しただけでなく、多数の球団で感染者が出たこともあり、球界全体にも不安感は拡がった。