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内村航平、哲学を貫き鉄棒に専念。
オリジナル技「ウチムラ」の可能性。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2020/07/04 20:00
昨年4月の全日本選手権では両肩痛の影響から予選敗退した内村。得意の鉄棒に絞って心身の充実をはかり、東京五輪出場を目指す。
「カッシーナ+コバチ+コールマン」の衝撃。
ロンドン五輪で見せた「カッシーナ+コバチ+コールマン」の衝撃は今も語りぐさとなっている。その後は'14年世界選手権まで3連覇。ゾンダーランドが登場すると会場のオレンジ軍団が大騒ぎになるという光景がおなじみだ。
'15年以降はケガに苦しんでメダルから遠ざかったが、'18年に見事復活。種目別ワールドカップの成績ですでに東京五輪の出場権を個人枠で手にしている。34歳になった今もなお「屈身コバチ+カッシーナ+ゲイロード2」など、いろいろな組み合わせで3連続を行っているチャレンジャーでもある。
内村が最後に手にした世界大会のメダルは、現在のところ'18年にカタール・ドーハで開催された世界選手権の鉄棒銀メダルだ。このときは、ケガから復活したゾンダーランドが'14年以来4年ぶりの金メダルに輝いた。
うらやましさにも似たライバル心。
振り返れば、ロンドン五輪で個人総合チャンピオンの座に就いた内村が、翌'13年頃からしばしば名前を挙げていたのが「ゾンダーランド」だった。
ベルギー・アントワープで開催された'13年世界選手権ではゾンダーランド人気に圧倒されたと驚いていた。
中国・南寧で行われた'14年世界選手権でゾンダーランドが世界大会3連覇を達成したときは、「エプケは肩が柔らかいんですよね。だから、ちょっとずれたようなときにもすぐに修正ができるのだと思います。それが強みだと思います」と分析し、「それにしてもすごい盛り上がりますよね」と語っていた。
銀メダルだった内村は、成績以上に会場が沸いたことに対して、うらやましさにも似たライバル心を隠さなかった。