才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
最終走者となったMGCで変わった
岩出玲亜のマラソン人生。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/07/08 11:00
挑戦する意義、食わず嫌いはダメ。
プロになったときにある方から言われた言葉があります。それは「食わず嫌いはダメ」ってこと。たとえ失敗したとしても挑戦することで感じること、得るものはあるから、とりあえずなんでもやってみなさいって言われたんです。
実は、実業団を辞めてから、環境もスポンサーも変わって、ウエアやシューズも変わったことに対して、すごく怖さがあったんです。これで走力が落ちたり、自分の走りができなくなったらどうしようって悩んでいました。でも、とりあえずやってみたら、最初はぎこちなくても、そのうち体が順応してくるんですよね。
昔は失敗することを恐れて、あまり挑戦するタイプではなかったのですが、プロになって、SNSで応援の声もいただいたり、いろいろな体験をさせてもらうことで、すごく意識が変わりました。
もちろん時には嫌な気持ちになることもあります。でも、後々考えると、あの体験があったからこそ、今は怖くないと思えることがすごく多い。結局、いい方向に向かうよう努力をすることが大切なんですよね。挑戦をしていれば、経験値が上がって、失敗しても応用力が身に付くんだと実感しました。
今は、挑戦することは自分をアップデートしていく、意義のあることだと思っています。
実はオリンピックを期に引退も考えていたのですが、もうちょっと頑張ってみようかなと思っていて。やっぱりマラソンで一度は日本代表になりたいので、それが今の目標ですね。そのために、これからも日々挑戦をし続けていきたいです。
岩出 玲亜Reia Iwade
1994年12月8日、三重県生まれ。中学時代に本格的に陸上競技を始め、愛知の名門・豊川高へ進学。3年時の全国高校駅伝ではチームを2位に導く。2013年に実業団入りすると、ハーフマラソンで1時間09分45秒のU20日本最高記録をマーク。2014年には世界ハーフに出場し団体で銅メダルを獲得した(個人19位)。同年の横浜国際女子マラソンで初マラソンに臨み、10代日本最高記録の2時間27分21秒をマーク(3位)。マラソンの自己ベストは2019年名古屋ウィメンズマラソンで出した2時間23分52秒。アンダーアーマー所属。
ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
第115回:岩出玲亜(マラソン)
7月10日(金) 22:00~22:24
岩出玲亜選手は実業団入りした後の初マラソンで10代の日本記録を打ち立て、22歳の時にプロになる道を選びました。昨年東京オリンピック出場を懸けて臨んだMGCでは、レース中から涙が止まりませんでした。人生で初めて最後にゴールした42.195km。そこで気づいたこととは? 番組では「東京オリンピックに出場したら引退する予定だった」と明かします。しかし最下位に終わったレースを経て、その気持ちに変化が表れました。再び走り始めた彼女の今、そして未来へと続く美学に迫ります。
第116回:川合美乃里(サーフィン)
7月17日(金) 22:00~22:24
19歳のプロサーファー・川合美乃里選手。プロになったのは6年前の13歳の時で当時の最年少記録でした。その後15歳にして日本プロサーフィン連盟の年間グランドチャンピオンを獲得。2017年には海外の強豪を抑えて日本人女子として初めてWSL QS3000グレードの大会『ICHINOMIYA CHIBA OPEN』で優勝するなど、大躍進を続けています。サーフィンの魅力は「自然を舞台にするため誰にでも勝つチャンスがあること」と語る彼女の理想の女性像や家族との感動エピソードもご紹介します。