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【THIS IS MY CLUB】横浜FC15年目、
三浦知良が語るクラブ愛とJリーグ。 

text by

一志治夫

一志治夫Haruo Isshi

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photograph byYOKOHAMA FC

posted2020/07/03 11:50

【THIS IS MY CLUB】横浜FC15年目、三浦知良が語るクラブ愛とJリーグ。<Number Web> photograph by YOKOHAMA FC

Jリーグ再開に向けてトレーニングに励む横浜FC・三浦知良。53歳で迎える今季も、その情熱は衰えていない。

2007年は、J1定着の準備ができてなかった。

――カズさんは、2005年の夏に神戸から横浜FCに移籍、実に15年にわたってチームの中心選手としてやってきたわけですが、横浜FCというチームのよさはどこにあるのでしょう?

「1999年にスタートしたのが第1次横浜FCだとするなら、2005年、15年前にメインのスポンサーとしてレオックというところが入ってからが第2次だったと思うんです。そこから、2006年に(J2で)優勝して、2007年に昇格しましたけど、あのときは本当に勢いでJ1にあがって、すぐに落ちてしまった。クラブとしてはまだ、J1にあがってから定着するための準備というのができてなかったんですね。

 そんな中で2008年以降は、J2ですごい苦労していたんですけど、試行錯誤しながらクラブとしてだんだん成長していけたのは確かで、さらにここ2、3年で大きく変わったんです。新しくGMが来たり、クラブの方向性が明確化されたり、地域とのかかわりも以前よりもっともっと深く大きくなってますし、 みんなの意識もすごく変わってきた。 昨年昇格を決めたわけですけど、その前年もちゃんとプレーオフに入ってますしね。だから、前回の2007年のJ1のときよりも、今年のほうがやはりクラブとしては、いろんな部分で充実しているんじゃないかと思います。そういう意味で、前回より今回のほうがJ1で活躍できるチャンスがあるのではないでしょうか。

 いまは、オーナーを中心としてメインで入っているスポンサー、ほかのすべてのスポンサーもそうなんですけど、みんなが本当に横浜FCがJ1でもJ2でも、たとえJ3になったとしても応援していこうという気持ちになってくれている。このスタイルも横浜FCのいいところだと思うんです。この1、2年で新しく入ったスポンサーの人もいますけど、10年以上やっているスポンサーの人も多くて、なかなか勝てない時期を見てきても、頑張って支えてくれて、そして去年、みんなの力でああいうふうに、J1に昇格できた。たとえ波があるとしても、常に応援する気持ちをキープしてくれている。普通、お金も出して口も出すじゃないですか。でも、横浜は、お金は出すけど口は出さないんですよ。これが特徴ですよね(笑)。だからって選手は甘えちゃいけないんですけど」

「世界に1チームぐらい、あってもいい」

――戦力面に目を移すと、横浜FCには、カズさんをはじめ、中村俊輔、南雄太、松井大輔といった元日本代表のベテランたち、一方で、斉藤光毅、中山克広、松尾佑介といった勢いある若い選手たちもそろっています。その融合も魅力的です。

「なかなか世界中さがしても、10代~50代までがそろっているプロサッカーチームってないと思うんですよ(笑)。俊輔も42ですし、南も今年41になるのかな、大輔も今年39、こんな選手が4人いるわけですから。これがひとつの特徴だと思うし、そういうものを受け入れるクラブのキャパのようなものがあると思う。世界に1チームぐらいこういうチームがあってもいいんじゃないですかね。

 もちろん練習では、年齢に関係なく、一緒に走って、競い合ってます。そういう姿っていうのは非常にいいと思いますし、ベテランの選手の誰もが練習の中で妥協しないし、特別扱いもないですし。僕らも若い選手から学ぶことも多いですし、当然若い選手もベテランの選手から学ぶことも多いと思うし。まあ、他のチームに行ったら、32、3歳の選手っていったら、もう大ベテランで、みんなから相当上のポジションに思われるんですけど、このクラブだと32、3って中堅ですから。32、3歳の選手に訊いても、上がすごくいるんで、気持ち的に助かるって言ってましたね。自分が気持ち的に若くいられる、前向きにいろんなことを考えられるみたいです。上の人がやっぱりしっかり練習やりますから、自分たちも負けていられないという気持ちにもなるんだと思います」

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