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ジョコビッチ陽性と感染予防の不備。
テニス界に突きつけられた難題とは。
posted2020/06/24 19:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
男子テニスの世界ナンバーワン、ノバク・ジョコビッチを含めた複数のトッププレーヤーが新型コロナウイルスに感染したことは、ようやくツアー再開に向けて具体的に動き出したテニス界に大きな衝撃を与えている。
しかし、実のところこのニュースが出たときのテニス界の反応は「まさか」ではなく「やっぱり」。もっと厳しい言い方をするなら、「ほらみろ」という感じだったかもしれない。
最初の感染者のニュースが出たのは、日本時間の22日朝方。元世界ランキング3位、2017年のツアーファイナルズ覇者でもあり現在は19位のグリゴール・ディミトロフがその感染者だった。続いて世界ランク33位のボルナ・チョリッチ、元世界12位で現在は184位のビクトル・トロイツキの感染の事実が明らかになった。
テニスファンなら知らないはずのない名前ばかりだったが、そこにジョコビッチという超大物が加わったからもう大変である。
パンデミック被害者支援ツアーが。
彼ら全員の共通点は、6月13日に始まったジョコビッチ発案のチャリティー・イベント『アドリア・ツアー』に参戦していたことだ。収益はパンデミック被害者の支援に充てられるというこのツアー、セルビアの首都ベオグラードで開幕し、先週末はクロアチアの港町ザダルへ舞台を移していた。
そのザダルで、ディミトロフが1試合を戦ったあと体調不良を訴え、感染が判明。それを受けて、選手や関係者が検査を受けた結果、上記の選手以外にも、ディミトロフのコーチ、トロイツキの妻、ジョコビッチの妻とフィットネスコーチなど次々と陽性結果が出たという経緯だ。