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プロからアマ、そして再びプロへ。
高山勝成の数奇なボクシング人生。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byDaiki Tanaka
posted2020/06/19 19:00
再びプロに転向し、次戦に向けてひたむきに練習を続ける37歳の高山。2005年にWBC世界ミニマム級王座を獲得し、世界王者の仲間入りを果たしている。
高山が「やり残したこと」とは?
高山が語る「悔い」や「やり残したこと」が意味するのは、“WBAの正規チャンピオンベルトをまだ持っていない”ということだ。ミニマム級では、WBC、IBF、WBOを獲得したが、WBAは暫定王者であり、正規王座ではない。この部分をクリアした時、高山の悔いは喜びに変わるという。しかも、これまで主戦場としてきたミニマム級ではなく、ライトフライ級へと1階級上げての挑戦も考えているという。
現在、37歳。プロからアマチュアに転向し、もう一度プロの世界に再転向した選手は未だかつていない。五輪挑戦のため、アマチュア用に身体とボクシングスタイルを作り替えたものを、年齢を重ねた中で、また戻さなければいけない。そして、またプロの舞台となるとボクシンググローブも10オンスから8オンスへと小さくなる。
年齢的にも条件的にも、非常に高いハードルが待ち受けていることは間違いない。
「真面目であることが魅力」
長年、彼に寄り添い、今回の合宿でも高山のトレーニングを担当していたトータル・ワークアウトのケビン山崎氏はこう話す。
「真面目であることが高山の魅力です。トレーニングに入る時、最初のうちは上手くいかないことが多い。けれど、上手くいくまで時間をかけてでもやり続ける心と、身体が思うように動くまでアジャストさせるポテンシャルの高さは素晴らしい。今回のトレーニングでも感じたことは、年齢を考えると落ちてきて当然のフィジカル的な部分が、若い頃より良くなっている。筋肉の動きを時間をかけて理解してきた分、20代の頃より37歳の今の方がキレがある。彼の真面目で物事を正面から捉える性格と、表にはほとんど出さない“決意”が高山を前進させてきたのだと感じる」