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甲斐拓也10年目、背負う重責と19番。
ムーア復活+有望株を伸ばすリード。
posted2020/06/17 11:40
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
今年のホークスは日本一になれば4年連続の大偉業だが、一方でパ・リーグでは3年ぶりの頂点を目指す戦いになる。
チームを率いて6年目になる工藤公康監督は「今季は開幕ダッシュが大切」だと考える。昨年比23試合減の120試合制で1試合の重みがより増すとともに、距離が短いレースと同じで出遅れが致命的な敗因になりかねないからだ。
ここで例年ならば「対戦が一巡するまでは……」などと思索を深めるところだが、今季のパ・リーグに関してはそういうわけにもいかない。移動リスク軽減のために火曜日から日曜日まで同じ対戦カードでの6連戦が、開幕節の翌週から10週間(8月23日まで)も行われるのだ。
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となれば、今シーズンは戦い方が変わってくる。
火曜日の“もう1人のエース”は?
たとえば、工藤監督は就任当初から「3連戦があれば、2勝1敗で勝ち越すことが目標」とチームに浸透させてきた。短期目標を設定することで、もし失敗しても気持ちの切り替えをしやすくするためだ。
「でも、今季に関してはどのように考えればいいのか。私の中でシミュレーションをしていますが、正直やってみないと何が正解か、間違っているかも分からない。なので申し訳ないけど、私の考えでしかない段階で公の場ではまだお話しできないです」
そして、先発ローテーションの考え方も変わる。
開幕戦の6月19日は金曜日だ。シーズンを通して軸となってもらう期待を込めたその年のエースが、全幅の信頼と共にマウンドへ送り出される。工藤監督は8年目右腕の東浜巨を選んだ。
そして本来ならば、開幕投手はしばらくのあいだ“カードの頭”で登板していくのが通例になるが、同一カード6連戦で当面戦う今季はそれが出来ない。とはいえ、連戦の初戦が重要であることは変わりない。
つまり、火曜日に投げる“もう1人のエース”が、開幕ダッシュを占うキーマンになるというわけだ。