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長谷部誠の心を読み解く8つの秘話。
旧知の4人が教える天然エピソード。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byAFLO

posted2020/06/15 20:00

長谷部誠の心を読み解く8つの秘話。旧知の4人が教える天然エピソード。<Number Web> photograph by AFLO

長谷部誠はエピソードを集めれば集めるほど、ちょっと変わった、でも愛さずにはいられない人なのだ。

「もっとしっかり走ろうぜ」

<証言3 チームメイトに本をプレゼントする(永田充)>

 とはいえ、ひとたび勝負事から離れれば、これほどまわりに気を遣える人もいないだろう。永田は長谷部のプライベートに興味を持ち、本人が嫌がるのを無視して何度もホテルの部屋に遊びに行った。

「室内の雰囲気がまさに海外組って感じで、オシャレなんですよね。パソコンから変圧器まで机の上に整然と並べられていて。お香にもこだわっていて、1人でいるときの空間をいかに気分よく過ごすかっていうのを考えていました」

 そうやって遊びに行ったあるとき、長谷部が突然、「これを読めよ」と本をプレゼントしてくれた。南アフリカW杯のときに長谷部が愛読して話題になった『超訳 ニーチェの言葉』だった。

 きっと長谷部は、自分の思いを本に託したのだろう。永田は練習のアップのとき、力を抜く傾向があった。長谷部はそれを見抜き、こうアドバイスした。

「アップのとき、もっとしっかり走ろうぜ」

 永田は自らの過ちに気がつき、以後、全力でアップをやるようになった。

「同年代のなかで、長谷部は間違いなくトップを走っている選手。だから発言にも説得力がある。大会中いっしょにすごして、サッカーに対する取り組みとか、すごく勉強になりました」

 プライベートはちょっと変だけど、心から尊敬できる同郷の親友。永田は長谷部のことをそう感じている。

<証言4 湯船につかりながら、サザンを流す(馬場憂太)>

 ここ1年の間に、長谷部の生活を垣間見たユース日本代表時代のチームメイトがもう1人いる。元FC東京の馬場憂太だ。昨年夏、馬場はプレーの場を求めてイタリアに渡った。それを知った長谷部が「うちを拠点にしろよ」と声をかけ、ヴォルフスブルクでの共同生活がスタートした。

 ある日、長谷部が湯船に浸かりながら、こんなリクエストをしてきた。

「ユウタ、パソコンで中島みゆきを流して!」

 他にはサザンオールスターズもお風呂での定番。とても20代とは思えない選曲だ。

 馬場は言う。

「マコちゃんは、古い歌を結構聴くんですよ。僕が東方神起とかをかけると、『自分は古き良き時代の男だ。年上の人が歌ってないと心に響かない』なんて言うんですよね」

 そういえばカズも、演歌を聴くことで有名だ。プライベートでも親交の深いこの2人には、意外に共通点が多いのかもしれない。

【次ページ】 日本から人が来ても、日課は変えない。

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