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無観客試合で異例のデビュー戦。
“時代”と生きるレスラー石川奈青。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2020/06/04 19:00

無観客試合で異例のデビュー戦。“時代”と生きるレスラー石川奈青。<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

観客「なし」と「あり」、2段階のデビューとなる石川奈青。この時期のデビューは業界にとってポジティブな出来事だ。

記録にも記憶にも残るデビューだった。

 6月から、アイスリボンは観客を入れての興行を再開する。

「今度はお客さんの前での試合。2段階デビューなんて自分だけだから嬉しいですけど、また緊張するんでしょうね。映像では見る人が頭の中でいいように補完してくれても、生ではそうはいかない。“あれっ?”とならないようにしなきゃいけないですね。いま褒めてもらえているぶん、余計に怖いです(笑)」

 デビュー戦が2度延期になった石川は、短期間に2度“デビュー戦”を行なうことになるわけだ。

「誰も経験してないことですからね。どんな気持ちなのか私も分からない。でもデビュー記念日はレスラーとしての誕生日。石川はそれが2回あるんだから、いいレスラー人生になると思います。現時点でも“コロナで気が滅入っていたけど石川のデビューに元気づけられた”というファンの方がいる。この時期にデビューした価値があったということですよね。もう人の人生に影響を与える存在になってるんですから」(藤本)

 初勝利に初タイトルマッチ、初戴冠。これから石川のキャリアが節目を迎えるたびに「2020年5月4日に無観客試合でデビュー」という経歴もクローズアップされるだろう。

「記録にも記憶にも残る、時代を象徴するデビューになったと思います」という藤本の言葉に異論はない。石川の活躍とともに、ファンは“あんな時期でも動きを止めず、新人をデビューさせたアイスリボンのたくましさ、プロレス界の打たれ強さ”を思い出すことになるだろう。

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