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12歳と8歳のゴルファーが作った、
『ウィ・アー・ザ・ワールド』の輪。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySports Graphic Number

posted2020/06/02 07:00

12歳と8歳のゴルファーが作った、『ウィ・アー・ザ・ワールド』の輪。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

アメリア・ファンと彼女の妹アレクサの行動が、過言ではなく世界を動かした。彼女がゴルフに取り組んできたことは偶然ではないように感じられる。

12歳と8歳が起こした大ムーブメント。

 ゴルフのチカラで社会や人々を励まし、勇気づけようと動いているのはプロゴルフ界だけではない。アマチュアゴルファー、いやいや、ジュニアゴルファーも「そのためにゴルフをやっている」と胸を張っている。

 SNSの世界では、4月に入って以来、名曲『ウィ・アー・ザ・ワールド』のリメイク版を数フレーズ歌っては次の人へバトンタッチしてつなげる「ウィ・アー・ザ・ワールド・チャレンジ」が頻繁にアップされていた。

 このリレー動画は世界中へ拡散され、たくさんの寄付が集まったそうだが、実を言えば、その発起人は米NY在住のトップ・ジュニアゴルファーである12歳と8歳の姉妹だった。

 彼女たちは今年4月のマスターズの開幕直前にオーガスタ・ナショナルで開催されるはずだった「ドライブ・チップ&パット」全国大会に姉妹揃って出場する予定だったが、コロナ禍でマスターズは延期され、ドライブ・チップ&パットは中止された。

 しかし、2人は落胆するどころか、「そのぶん時間ができた。その時間を社会のために有効に使いたい」と考えたのだそうだ。

 2人が通う学校にはランチを食べられない貧困家庭の子どもたちが大勢いる。

「歌を歌って、学校の友だちが抱える問題に社会の目を向けたい。辛い思いをしている子どもたちをみんなで助けたい」

MJの財団に直接働きかけ……。

 姉妹が父親と一緒に考え出したのが、『ウィ・アー・ザ・ワールド』の替え歌バージョンを作ることだった。

 著作権などの権利を持つマイケル・ジャクソン・ファミリー・トラストやライオネル・リッチー・ファミリーに直接働きかけ、了解を取り付けたというのだから、その行動力には頭が下がる。

 母親のピアノ伴奏で姉が歌う動画を4月5日にリリース。SNSで広く呼び掛けたところ、瞬く間に全米へ、世界へと拡散され、寄付金は2万ドル、3万ドルと増えていった。

 その後、ライオネル・リッチーを中心としたNY州ロング・アイランドのアーチストたちの間でも「ウィ・アー・ザ・ワールド・チャレンジ」が広まり、まさしく垣根を越えて、巨大な輪が広がった。

【次ページ】 慈善活動のリーダーとしてのゴルフ。

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