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藤井聡太タイトル挑戦へ超異例日程。
渡辺明棋聖「可能性は5割以上……」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byKyodo News
posted2020/05/30 08:00
最年少タイトル挑戦の期待が高まる藤井聡太七段。しかしそこに立ちはだかる先輩棋士にも意地がある。
名人戦を1カ月も開けて棋聖戦か。
目を引くのは、名人戦の第3局と第4局の間が1カ月開いていることだ。推測だが、ここに棋聖戦の後半戦をズドンとはめ込んでくるものと思われる。
名人戦が佳境を迎える前のタイミングで、渡辺明と藤井聡太のタイトルマッチが燃え上がる展開は、主催者や日本将棋連盟だけではなく、将棋ファンの誰もが待望するところだろう。
両タイトル戦にまたいで登場する渡辺明にとっても、その期間だけは相手を1人に絞って戦える設定は好都合に違いない。叡王戦と名人戦をまたぐ豊島としても、名人戦がそこで1カ月開くのは歓迎なはずだ。
佐藤、永瀬、山崎も高く大きな壁。
とはいえ、棋聖戦に藤井聡太が出てくると決まったわけではない。
準決勝で当たる佐藤天彦は、名人陥落後に調子を落としているとはいえ、相手の攻めをギリギリ見切る技術は超一流。藤井と言えども簡単に突破できる相手ではない。
そして、決勝に出てくるのは充実の永瀬か独創の山崎。どちらにしても高く大きな壁だし、3人が自動的に敵役になっている雰囲気を感じるのも必然で、よけいに力を出してきそうだ。
'16年のデビュー以来、毎年8割以上の勝率をマークしている藤井聡太であっても、タイトル戦の挑戦権にたどり着くというのは、それほど大変なことなのだと改めて思う。
それでも、待ち受ける渡辺明棋聖は「可能性としては5割以上藤井さんが出てくるものと思っています」と、冷静に計算している。
藤井聡太のポジションは、すでに認められているのだ。