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ブンデス再開、無観客の実況をして。
倉敷保雄が語るJリーグ中継の難しさ。
posted2020/05/23 11:50
text by
いとうやまねYamane Ito
photograph by
Getty Images,Ito Yamane(in the article)
欧州で、他の主要リーグに先駆けて、5月16日(土)に再開を果たしたドイツのブンデスリーガ。日本でもスカパー!がCSとBSで生中継を実施した。その実況を担当したフリーアナウンサー、倉敷保雄氏にお話を伺った。
インタビューは、ブンデスリーガ第26節ドルトムント対シャルケの「レヴィア・ダービー」後の5月18日にオンラインで実施した。
コロナ禍における中継には、モニター越しに映し出される無観客のスタンド以外にも、様々な規制や勝手の違いがあったという。
アナウンサーは解説者の口元を見ている。
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――約2カ月ぶりに行われたブンデスリーガの中継でした。解説者は水沼貴史さんでしたね。実況の現場では、どのような新型コロナの影響がありましたか?
「ドルトムント対シャルケのダービー中継は、もともと中断前にオファーされていたカードでした。当初解説は名波浩さんでしたが、名波さんは現在、静岡のテレビ局で仕事をされており、コロナウイルスの問題を考えれば東京に移動しての仕事は難しいという判断になりました。そこで水沼さんに担当していただくことになったと聞いています。
新型コロナ対策は局によって異なります。アナウンサーと解説者が別々の放送ブースになることもありますが、今回のスカパー!の場合は、観客を入れて公開収録が出来る大きなスタジオを使い、アナウンサーと解説者は広いスタジオの中でかなり離れた位置に座りました。(2人の)距離は5~6mくらいだったと思います。
解説者がすぐ隣にいないというのは、やはりやりにくい。中継の時にアナウンサーは解説者の口元をちらちら見ているからです。『何か喋りたそうだな』『開きたい口をしているな』とか。そのタイミングでこちらがひと言入れるか、逆に解説者が喋り終わるのを待つこともある。その阿吽の呼吸が必要なんです。
ところが、今回はそういうわけにはいきませんでした。水沼さんも普段から相当に気を遣ってくださる方ですが、さすがに言葉が被りましたね。一度だけですが」