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箱根10区区間新の創価大・嶋津は、
「人生で”モブ”にはなりたくない」。
posted2020/05/25 07:00
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Takeshi Nishimoto
今夏のインターハイやインカレ、甲子園も中止となるなど、学生スポーツにも新型コロナウイルスは大きな影を落としている。まだ半年以上先の箱根駅伝の開催も見通しが立っていないが、無事に開催されることになれば、大いに注目なのが創価大学の3年生、嶋津雄大だ。
今年正月の箱根駅伝で、嶋津は2つの意味で衝撃を与えた。ひとつは13年ぶりに10区区間新記録を叩き出し、チームに初のシード権をもたらしたこと。嶋津の熱い走りがテレビに映し出されたシーンは、瞬間最高視聴率34.1%をマーク。ゴール後には興奮気味でインタビューに答えるなど、そのキャラクターにも注目が集まった。
もうひとつは、84.7%もの選手がナイキの「ヴェイパーフライ」を履いた中、嶋津は区間新記録を更新した選手で唯一“非ヴェイパー”だったことだ。
1時間のはずが2時間半話しっぱなし。
嶋津が履いていたのは、ミズノが開発したシューズのプロトタイプ。発売中のNumberDo「ランニングを科学する」では、ヴェイパーフライが独占状態のランニング界において、ナイキ以外のメーカーがどんな理念をもってシューズ開発を進めているのか、新たに登場するモデルはどんなものなのかを取材した。
そのなかで実際に履いた選手の声も聞きたいと、EKIDEN Newsの西本武司さんと一緒に嶋津にも話を聞きに行った。取材時間は1時間、のはずだったのだが、過去のエピソードをひとつひとつ仔細に語ってくれるので、話が終わる気配がない。気がつけば約2時間半、箱根を駆け抜けるがごとく、ノンストップで話をしてくれた。
その内容は誌面では到底収容しきる分量ではなかったため、ここで箱根駅伝の裏側から、高校時代の話までをお届けする。