マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!1/4
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHachinohe Gakuin University
posted2020/05/25 11:30
八戸学院大学の4年生、大道温貴。大学通算20勝5敗、150kmのスピードはプロの目にどう映っているだろうか。
空振りが取れる中道に見逃しを期待。
一方の左腕・中道佑哉は、昨年春のリーグ戦でチーム9勝のうち5勝をマーク。リーグ優勝の原動力となった。
スリークォーターからバックスピン抜群の速球で空振りを奪う。そんな姿が印象的だった。
「ほんとは、アウトローのまっすぐドーン! で見逃し三振。僕はそっちのほうが見たいんですけどね」
正村監督が笑っている。
「空振り三振っていうのも勇ましくていいんだけど、ボール球振らせても、上じゃ通用しないですよね。あくまでも、ストライクゾーンの中のベストボールでないと、ピッチャーとしてほんとの値打ちがないんです」
プライドが高くて、いかにも「ピッチャー」。
大道について、こんなことがあったんですよ……と、らしい「出来事」を教えてくれた。
「自分が絶対の自信を持っていたスライダーの軌道を、ある人に修正したほうがいいって言われたんですよ、大道が」
一度ふくらんでから曲がる軌道を、ストレートがベース上でキュッと動く軌道に。
「ケチをつけられたと思ったんじゃないですか。僕のとこ来て、『否定されました』っていうから、指摘の通りだって教えてあげてね。鼻っ柱が強くてプライドも高くて、いかにも『ピッチャー』って感じで。そのへん、僕もよくわかるんですよ、ピッチャーだったんでね」
高校までは無名だった投手を、まず基本からビシッと仕込んで、何人もプロ、社会人で通用する投手に育ててきた正村監督。
金足農当時の吉田輝星投手(現日本ハム)がその指導を受けていたのも、有名な話だ。
「自信があるんでしょうね、大道は。投げたがりで、交代させると納得がいかない時は目も合わせない。めんどくさいヤツですけど、エース張るんなら、それぐらいの心意気があっていいと思います。まあ、それだけのことやりますからね、大道は。練習もそうだし、実戦でも。口ばっかりで練習しないヤツもいますけど、あいつは言わせないだけの練習やってますから」