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“ガチ勢ゲーマー”で話題のマリー。
ツアー中断も模索する復活プラン。
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2020/05/15 18:00
eスポーツでの才能を見せつけたマリー。現実でもトップレベルで躍動する姿を再び見たい。
人工股関節も「まわりを強く」。
先ごろスカイプを使って出演したCNNのテレビ番組では、順調に回復している状況を明かした。
「最後にプレーしたのは去年11月だし、ここ6週間ほどは(英政府の外出規制により)自宅にいるのでボールも打っていない。でも、この時間を使って可能な限り体を最高の状態にして、股関節まわりを強くしようとしている。癒やすための時間を多く取るだけでなく、より強くすることにも挑戦している」
「体調は本当にいい。またプレーする機会が来れば、準備はできている」とも言った。人工股関節が入っている患部の状態は、悪くはないようだ。未曽有の危機によるツアー中断は、マリーにとっては多くの時間をけがの回復に充てられる時期にもなっている。
兄が関与、無観客イベント開催か。
復帰の後押しになりそうな動きもある。
英メディアによると、6月下旬から開催予定だったウィンブルドンの中止を穴埋めする形で、英国内で無観客によるイベントが計画されている。
運営に深く関与していると報じられたのが、ダブルスの名手である兄のジェイミー。国内8選手をロンドンの会場に集め、ツアー最終戦のATPファイナルズのように4人ずつ2組に分かれて1次リーグを行う案がある。ウイルス感染対策の一環として、選手が線審を兼務し、ボールパーソンも不在で行うという。
その参加者の候補にはもちろん、ウィンブルドンのシングルスで2度の王者に輝いた弟アンディの名前が含まれている。
非公式戦とはいえ、ツアーに復帰する前に強豪たちと顔合わせができれば、貴重なステップアップの場になる。多くのスポーツイベントが中断しているだけに、テレビ局やスポンサーも飛びつくはず。スポーツファンは生中継の興奮を渇望している。
さらに、マリー兄弟が生まれ育った英スコットランドのテニス協会も、2人が出場するイベントの開催を模索しているようだ。
ただし、政府による規制緩和が進まなければ話は始まらない。英政府は国内のスポーツイベントの再開は早くても6月1日以降としている。今後、感染の状況が悪化していけば、全ての計画はゼロに戻ってしまう。