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元ボクサーとバレー指導者が語る、
「縄跳びは理想的な上下運動です」
posted2020/05/17 09:00
text by
増田晶文Masafumi Masuda
photograph by
Getty Images
起きて半畳、寝て一畳、天下とっても二合半――なかなか含蓄の深い箴言といえよう。
しかして、コロナ禍で運動不足がとっても気になる昨今、次の一文を付け加えたい。
「跳んで半畳、一日十分」
1本のロープさえあれば、疫病に怯え、耐乏の日々を余儀なくされる人々に一条の光が差しこむ……かもしれない。
川島実医師はコロナ対応で多忙を極めている。そんな彼が電話の向こうでいった。
「僕も久しぶりに縄跳びをしようかな」
川島医師は元プロボクサー、西日本ウエルター級新人王に輝いた経歴を持つ。
「だって縄跳びは全身運動。エアロビックな要素はもちろん、筋力アップと運動神経をよくする効果もあります」
縄跳びとボクシングはすんなりとイメージが重なる。矢吹丈にロッキー・バルボアのみならず、現役時代は「京大医学部卒のインテリボクサー」なんていわれた川島医師も、ロープをひゅんひゅん回し勝利を目指した。
ロードワークはケガや事故が怖い。
ボクサーは1R3分を目安にして縄跳びを何ラウンド分もこなす。川島医師の場合、有酸素運動の王道たるロードワークは10キロほどだったという。
「試合の数日前、ことに雨だとランニングは止めて縄跳びに切り替えていました。ロードワークは足元のケガや交通事故が怖いし、減量で抵抗力も下がっているから風邪をひく危険性が高くなりますからね」
ちなみに、現役時代の彼は「二重跳びで100回、三重跳びはその半分ほどこなせた」とか。だけど、苦笑まじり、「強い選手ほど縄跳びがうまい」と教えてくれた。
「あるチャンピオンなんかは僕の何倍も三重跳びをこなしてましたよ」