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Kリーグがついに開幕も……。
Jリーグは何を学ぶべきか?
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byGetty Images
posted2020/05/11 20:00
徹底的に感染予防対策をした上での開幕だが……無観客試合で選手は「練習試合のような気持ちになってしまった」と告白。
JリーグとKリーグの決定的な差とは?
日本との“再開スピード”の勝負があったとするなら、決着は2月24日の時点でついていた。
緊急理事会を開催し、「無期限の開幕延期」を決めた。その後Kリーグからの通達として、選手側に「練習場の行き帰りのルートを最小化すること」「他チームとの練習試合禁止」などを定め、トレーニングを続けさせた。韓国メディア曰く、チームを社会から完全に「隔離」したのだ。
日本は再開のスケジュールに合わせ、対外試合なども続けていた。少なくとも「隔離」の状態にはなかった。現場から感染者が出たこともあり、ほぼ全チームが現在も解散状態にある。
大分トリニータの片野坂知宏監督は4月15日の時点で「再開まではキャンプと同じ長さの6週間のトレーニングが必要」と発言した。仮に再開が決定しても「人様にお見せする」には準備期間がいるということだ。これが新型コロナの状況以外で試合開催時期が遅れるもうひとつの理由になっている。
韓国は、早めに下した大きな決断が功を奏したわけだ。
背景には2015年に東アジアの国として唯一、「MERS(中東呼吸器症候群)」を流行させてしまった点がある。38人の死者が出たのだ。失敗の原因は「初期対応の遅れ」だった。
この経験が今回の新型コロナにも生かされている。政府が早めに「強めの行動制限勧告」を出し、リーグもそれに従うかたちを取ったのだ。
万全の感染予防対策で無事に開幕できたが……。
かくして行われたKリーグの開幕ラウンド。無事に終わったのか? と問われるならば「無事だった」と答えるしかない。
今後の選手やスタッフへの新型コロナ検査の感染結果こそが完全なる答えとなるが、少なくとも開幕節では大きなトラブルは伝えられなかった。
メディアの人数は最小限に制限され、入場時の発熱検査、立ち入り者リストへの記入が求められた。またベンチではコーチングスタッフがマスクを着用し、間隔を空けて腰掛けた。また選手には「試合前の発熱チェック」、「大量のツバを吐かない」などのガイドラインが設けられた。
とはいえ、いいことばかりではなかった。
筆者自身、開幕節の数試合の中継を観たが、明らかにふだんのKリーグよりも内容面で落ちる部分があったからだ。