オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦が公開した3本の芸術的動画。
ライター松原孝臣はこう読み解いた。
posted2020/05/09 20:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
日本スケート連盟が公式ツイッターで実施した動画のリレー企画「#SkateForward明るい未来へ」。
さまざまな競技の選手がそれぞれの思いを込めて、発信してきた。
5月6日に登場したのは、羽生結弦だった。
そして羽生による動画は、自身の歩みを通じての、強力なメッセージが込められていた。
答えは、自身の歩みを伝えることだった。
その動画とは、どのようなものであったか。
羽生のパートは3つに分かれていた。
「フィギュアスケーターの羽生結弦です。
2011年3月11日から今までの、僕とプログラムたちの道のりです」
3つの映像の冒頭、唯一の言葉とともに始まったのは、室内で、ジャージーで披露する数々のプログラムの断片だった。
スタートは、『White Legend』。
東日本大震災の翌月、神戸で開催されたチャリティーの場で滑ったプログラムだ。
続けて、それ以降の年代のプログラムが続く。
その中から、あえていくつかあげれば、2012年の世界選手権で銅メダルを獲得した際のフリー『ロミオとジュリエット』、ソチ五輪シーズンのショート『パリの散歩道』、平昌五輪シーズンのショート『バラード第1番』、さらには『秋によせて』『Origin』……『SEIMEI』で締めくくり、「2011.3.11~2020.5.6」の字幕が表示された。
連盟による企画に、どのような作品を作り上げればよいか、考えただろう。
答えは、自身の歩みを伝えることだった。