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本田所属ボタフォゴの赤字141億円。
鳥栖以上の経営難も倒産しない理由。

posted2020/05/11 11:30

 
本田所属ボタフォゴの赤字141億円。鳥栖以上の経営難も倒産しない理由。<Number Web> photograph by AP/AFLO

本田圭佑の移籍決定は現地でも大きな話題になった。そこにはサッカー面だけでなく、マーケティング的戦略もあるのだろう。

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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 J1のサガン鳥栖が、2018年の5億8178万円に続いて2019年に20億1486万円もの赤字を計上したことが大きく報じられている。

 新型コロナウイルスの感染拡大のため今季はJリーグの第1節とルヴァンカップのグループステージ第1節を消化しただけですべての公式戦の開催が延期されている。そのため大幅な減収が必至の状況で、クラブの存続が危ぶまれている。

 '90年代後半、メインスポンサー撤退のため横浜フリューゲルスが事実上消滅。その後も、ザスバクサツ群馬、FC岐阜、大分トリニータ、水戸ホーリーホックなどが危機を迎えたが、Jリーグから融資などの援助を受けて破綻を免れている。

 Jリーグは、欧州にならって2013年からクラブライセンス制度を実施。財務面では、1)3期連続の赤字を計上しないか前年度の赤字額が純資産額を上回っていないこと、2)移籍金や給与の未払いが生じてないこと、などをJ1とJ2のライセンス交付の条件としている(これらの条件を満たさない場合、J3以下へ降格される可能性がある)。

 当面、公式戦再開の目途は立っておらず、各クラブで入場料収入にグッズ販売やスタジアム内での商業活動による収益などが減るのは確実で、テレビ放映料、スポンサー収入も減額される可能性が高い。

 鳥栖の経営危機は、日本の多くのクラブにとって他人事ではないはずだ。

ブラジルもコロナ禍で厳しい状況。

 一方で本田圭佑が所属するボタフォゴなどブラジルの多くのクラブも、厳しい状況に置かれている。

 5月5日現在、ブラジルにおける新型コロナウイルスの感染者は約11万人で、死者は約7400人。日本より深刻だが欧米ほどひどくはない、という状況だ。

 今季は1月下旬に各地で州選手権が、コパ・ド・ブラジルが2月上旬に開幕したが、前者が10試合程度、後者が3試合を消化した3月中旬に中断された。ブラジルリーグが5月2日に始まる予定だったが、こちらも延期されている。

 日本同様に公式戦再開の目途は立っておらず、コロナ禍によってクラブが大きな経済的損失を被るのも全く同様だ。

【次ページ】 累積赤字140億円でも倒産しない?

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