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幻のセンバツ出場校監督が挙げた
「最も印象に残る教え子」は誰だ?
posted2020/05/07 20:30
text by
矢崎香耶子(Number編集部)Kayako Yazaki
photograph by
Hideki Sugiyama
電話口の向こうで、明石商・狭間善徳監督の声がほんの少し渋くなった。
「一番ですか……1人に絞ったほうが良いですか?」
コロナ禍に呑み込まれ、中止となってしまった第92回のセンバツ甲子園。その出場予定校を対象とした取材に、昨年春夏4強の名将は気さくに応じてくれた。饒舌だった話に重さが漂ったのは、「これまでの教え子で一番印象に残っているピッチャーは誰ですか?」という質問を投げかけたときだ。
答えが絞れないのも当然だろう。世間にとっての甲子園は毎年訪れるイベントかもしれないが、選手や監督にとってその年、そのチームは一度きり。そんなかけがえのない1年1年を見つめてきた監督には、どの選手に対しても深い思い入れがある。
結局、狭間監督は松本航(西武)らに触れた上で、吉高壮(日体大)の名前を挙げてくれた。初出場だった2016年のセンバツで、全29.2回を1人で投げぬき4失点。ベスト8へと導いた右腕は170cmと小柄ではあったが、「ピュっと生きた球を投げていた。負けん気もあって、とにかく勝ちやすい」投手だったと言う。
「一番印象に残る投手の教え子は?」
発売中のNumber1002号の野球特集「今だからできること」では、センバツに出場予定だった高校に「投手」に関するアンケート取材をお願いした。
「今回のセンバツでは、初めて『500球/週』の投球制限が適用されるはずだったが、どう対応しようと考えていたか?」
「高校生投手の育成方針は?」
こういった質問をぶつけ、紙面で紹介をしている。そんなななかで、未だ開催の見えない夏に向けて準備を続ける名将たちに「一番印象に残っている投手の教え子は誰か?」も問うた。その回答の中から、ここでいくつか紹介したい。