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妹・真央とともに歩んだ、
浅田舞のフィギュアスケート人生。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/04/29 11:00

妹・真央とともに歩んだ、浅田舞のフィギュアスケート人生。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ちょっと誰かに頼ってみるのも悪くない。

 そう思えるようになったのは、母が亡くなってから。ずっと心の距離があったのですが、母の死をきっかけに、妹とは多くのことを話すようになりました。母のことはもちろん、心が離れた時にお互いをどう思っていたのか、実はこんなことがあったんだよとかいろいろ話すようになって、距離がぐっと縮まりましたね。

 私はずっと、誰かに相談することがいいこととは思えなくて、自分で抱え込みがちでした。今でも相談相手が多いわけではないけれど、誰かに話すことで自分の心が楽になれるんだって気づきました。

 妹にもなんでも話してって言われましたね。「隠し事をしないで、真央にはなんでも話して。話してくれないのは逆にショック」って言われて「あ、話してもいいんだ」って。30代になってから、ちょっと誰かに頼ってみるのも悪くないって学びました。

 私は競技でもプライベートでも、何度も挫折をしてきました。だけど、周りの方が支えてくれたこともあって、どんなことがあっても投げ捨てず、諦めなかったから、こうして過去のことも笑って話せるようになったのだと思うんです。だから、これからも投げ出さず、諦めず、いろいろなことに挑戦することで、自分の人生を楽しく彩っていきたいですね。

浅田舞

浅田 舞Mai Asada

1988年7月17日、愛知県生まれ。7歳の時にフィギュアスケートを始める。ジュニア時代は5種類の3回転ジャンプを跳べる数少ない選手の1人として頭角を現す。2002-2003シーズンには全日本ジュニア選手権と世界ジュニア選手権で3回転アクセルにも挑戦。2004-2005シーズンの怪我からジャンプが不調になった影響もあり、2008-2009年シーズンに競技を引退。現在はアイスショーに出演するほか、スポーツキャスターとしても活躍中。

ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第105回:浅田舞(フィギュアスケート)

5月1日(金) 22:00~22:24

元フィギュアスケーターの浅田舞さんは早くから天性の才能を発揮し、ジュニア時代には世界のトップにも迫りました。しかし、共にスケートを始めた妹の真央さんが台頭し、高校生の頃には成績が逆転。受け入れがたい現実に背を向け'08-'09年シーズンに競技から引退。ずっと仲が悪かった真央さんとの関係を修復し、笑顔を取り戻した彼女が今取り組んでいるのは社交ダンス。始めたきっかけや、その先にある夢なども語ります。

第106回:室伏由佳(陸上)

5月8日(金) 22:00~22:24

室伏由佳さんはハンマー投で'04年のアテネ五輪に出場。円盤投でも日本選手権10連覇を成し遂げるなど、日本女子陸上投てき種目を長年に渡ってリードしました。現役時代に打ち立てた数々の記録を支えたのは、人並み外れたストイックさ。番組ではモチベーションを維持する秘訣を語るほか、様々な不調と戦ってきた経験をスポーツ界にいかすため、順天堂大学スポーツ健康科学部の講師を務めながら研究者として励む彼女の今に密着。手作りの料理などを通して素顔にも迫ります。

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