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幾多の危機を乗り越えてきたMLB。
失われた時間で見直すべき原点。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2020/04/20 07:00
歓声の聴こえないドジャースタジアム。今年7月に40年ぶりにオールスターが開催される予定だが……。
コロナ禍は内部の問題ではないが。
これまでも、米球界は苦境に面してきた。
1919年のワールドシリーズで八百長を起こった「ブラックソックス事件」、1989年にピート・ローズが処分された野球賭博、2007年に「ミッチェル・リポート」で発表されたステロイド疑惑などは、野球界のモラルに反するものとして汚点を残した。それら負の根源を究明し、負の芽を丁寧に摘みながら、米球界は発展してきた。
新型コロナウイルス禍は、球界の内部が引き起こしたものではない。
だからといって、無観客で試合を消化して、機械的にペナント争いを続けていけばいいというわけでもない。
現時点では、キャンプ地のアリゾナ、フロリダでの変則開催を含め、少なくともテレビ中継で楽しんでもらうことなどが検討されているものの、先行きは見えていない。
選手誰もが無観客を望んでいるとは。
今現在、選手のだれもが、無観客での試合を望んでいるとは思えない。
ご贔屓チームのユニホーム姿で、ビールとホットドッグを手に、純粋に楽しんでほしい。
アマにはない高等技術を駆使し、手に汗を握る真剣勝負を期待するファンの前でプレーできる喜び、充足感を味わえることこそ、プロ野球の原点――。
今回の充電期間を機に、野球界がコンピューターに左右されるような方向でなく、たとえ泥臭くとも人間味溢れる試合、スタイルに回帰することになれば、失われた多くの時間も、少なからず野球界の発展につながるのかもしれない。