沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
デアリングタクトの桜花賞完勝劇。
この衝撃はまさにアーモンドアイ級。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/04/13 11:40
馬場状態、展開が変わっても勝ち馬は変わらないのではないかと感じさせるほどの強さを発揮したデアリングタクトと松山弘平。
アーモンドアイに匹敵する衝撃度。
「本当に強い競馬をしてくれて、馬にも、関係者にも感謝の気持ちで一杯です。最後まで必死で、とらえるまでは(勝てるかどうか)わからなくて、『何とかかわしてくれ』という気持ちでした」と、3戦すべてで手綱をとった松山は言う。
道悪では、多少ペースが速くなっても逃げ、先行馬の流れ込みが多くなる。それもあって、直線入口での差は絶望的に見えたが、あっさり逆転した。また、ゴール前で内のレシステンシアに並んだと思ったら、あっと言う間に1馬身半突き放していた。それだけ、フィニッシュの瞬間のスピード差が大きかったということだ。
重馬場だったので勝ちタイムこそ1分36秒1と遅かったが、上がり3ハロンは、2番目に速い馬よりコンマ5秒も速かった。
力を出し切った2歳女王のレシステンシアを、次元の違う豪脚でねじ伏せた。インパクトとしては、2年前のアーモンドアイの桜花賞に匹敵するものがある。
パートナーを信じ切って能力を引き出した松山も見事だった。GI制覇は’17年皐月賞(アルアイン)以来の2勝目。前日の阪神牝馬ステークスにつづく重賞勝ちで、今年早くも重賞6勝目となった。
折り合いさえつけば距離延長は大丈夫。
2冠目のオークスに向けて、松山はこう話した。
「折り合いさえつけば、距離が延びても大丈夫だと思います。少し入れ込むところがあるので、そのへんが課題になってくるかな、と思います」
とてつもなくスケールの大きな桜の女王が誕生した。
なお、桜花賞の売り上げは、140億4762万3500円で、前年比83.4%。前週の大阪杯(同78.8%)につづき減少したが、電話とネット投票だけの販売であることを考えれば大健闘と言える。
今週は皐月賞が行われる。無観客でもスターは生まれる。競馬の火を消すまいと奮闘する関係者にエールを送りつつ、これからも開催がつづくことを祈りたい。