月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
志村けん、藤浪、塗り絵、五輪延期。
コロナ一色の中に見えた各紙の手腕。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byYuki Suenaga
posted2020/04/01 20:00
新型コロナウイルスの影響を伝えた3月のスポーツ各紙。塗り絵を一面に掲載するなど、思考を凝らした紙面づくりも見られた。
捕手目線で伝えた無観客レポ。
野球の無観客レポで面白かったのはスポーツ報知の「迫る」という企画(3月17日)。無観客でプレーするうえでの難しさを捕手目線で探っていた。
いつもなら大声援でかき消されるはずの“ある音”が、無観客試合で捕手陣を悩ませているという。
日本ハム・宇佐見「(自分が)『ザッ』って動く音が聞こえてしまうのが嫌ですね。打者に聞こえているのではないかと思ってしまって」
ソフトバンク・甲斐「守っていて気を使うことが多い。(特に気になるのが)自分の足音。コースに寄ったときの音を気にしてしまう。向こう(打者)に聞こえているかは分かりませんが、無観客だからこそ聞こえる音もあると思っています」
なるほど。静かすぎる球場は普段聞こえないはずの音がバッターに聞こえてしまうのだ。「無観客」という特殊な状況でどんな記事をつくるのか、スポーツ新聞の腕の見せどころでもあると感じる。
でも本当は球春到来を華々しく伝えたいはず。
東京中日スポーツの一面見出し「与田監督 3連勝」(3月23日)は華々しかった。中日が広島に3連勝したのだ。でも小さく「幻の開幕」とあった。
《開幕が延期になっていなければ開幕戦3連戦3連勝。それも敵地では2012年4月以来、8年ぶりの快挙のはずだった。》
なんとも恨めしい一面。
五輪延期、オッズは4.5倍?
最後に東京五輪延期について。ああ、これは延期だなぁと実感したのはスポニチのこの記事。
『五輪通常開催「されない」オッズ1.17倍 「される」4.5倍 』(スポニチ3月23日)
欧州のブックメーカーでは賭けの対象にされていたらしい。7月に通常開催「されない」が1.17倍! これはカタそう。そう思っていたらやはり延期になりました。
以上、今月のスポーツ新聞時評でした。