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無観客開催に1位入線馬の降着。
波乱の高松宮記念で輝いた松若風馬。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/03/30 11:50
凄まじい叩き合いの末に降着による決着。高松宮記念は劇的な結末だった。
クリノガウディーが抜け出そうとした瞬間。
クリノガウディーが一気に突き抜けそうに見えたが、次の瞬間、同馬は内に切れ込み、ダイアトニックを内に押し込むように走行を妨害した。ダイアトニックの北村は、立ち上がるようにして急ブレーキをかけざるを得なかった。
内に押圧されたダイアトニックにぶつけられたモズスーパーフレアも、トモを滑らせるようにフットワークを乱した。それでも松若は必死に追いつづけた。
加害馬となったクリノガウディー自身も、ダイアトニックを押圧したとき、軌道修正して3完歩ほど追えなくなるロスがあった。
先行する3頭が叩き合っている間に、大外から、池添謙一のグランアレグリアが飛ぶように伸びてきた。勢いはこれが飛び抜けている。1完歩ごとに前との差を詰め、まとめてかわしてしまうかに見えた。
最内のモズスーパーフレア、その外から立て直して追い上げたダイアトニック、さらに外のクリノガウディー、大外のグランアレグリアの4頭が横並びでゴールを駆け抜けた。
クリノガウディー、モズスーパーフレア、グランアレグリア、ダイアトニックの順で入線した。着差は鼻+鼻+頭という大接戦だった。
GIの1位入選降着は4度目。
1位で入線したクリノガウディーが、内のダイアトニックとモズスーパーフレアの走行を妨害したことに関して審議が行われた。その結果、この走行妨害がなければ、被害馬は加害馬に先着していたと認められ、クリノガウディーはダイアトニックの後ろの4着に降着となった。
GI1位入線馬の降着は、1991年天皇賞・秋のメジロマックイーン、2006年エリザベス女王杯のカワカミプリンセス、2010年ジャパンカップのブエナビスタに次ぐ4度目だった。