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無観客開催に1位入線馬の降着。
波乱の高松宮記念で輝いた松若風馬。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/03/30 11:50
凄まじい叩き合いの末に降着による決着。高松宮記念は劇的な結末だった。
1頭だけインコースを選んだ松若。
壮絶なレースだった。
テン乗りで、15番人気のクリノガウディーをここまで持ってきた和田の騎乗は、最後の斜行さえなければ、素晴らしかった。大きな不利を受けたダイアトニックは、押圧されて接触したモズスーパーフレアとの位置関係がもう少しずれていたら、前脚をさらわれて転倒していたかもしれない。クリノガウディーの降着と、和田の9日間(開催4日間)の騎乗停止処分は、やむを得ないところだろう。
言っても虚しいタラレバだが、ダイアトニックの盛り返した脚を見ると、目一杯追うことができていれば、違う結果になっていたのではないか。
パトロールビデオを見るとわかるように、最後の直線で、モズスーパーフレアだけが、他馬が避けて通ったインコースを走っている。迷わずそこに誘導した松若のファインプレーだった。
外から飛んできたグランアレグリアに鼻差先着できたのは、こうした馬場への適性の差で、それを生かし切った騎乗だった。
松若風馬にとって初めてのGI。
これが昨年3月のオーシャンステークス以来の勝利となったモズスーパーフレアにとっても、デビュー7年目、24歳の松若風馬にとっても、初めてのGI制覇となった。
このコンビは、昨年のスプリンターズステークスでも逃げて半馬身の2着だった。ゴールまであと3完歩ほどのところで栄冠を逃したが、ついに頂点に立った。
なお、この高松宮記念の売上げは127億134万8200円。無観客だったにもかかわらず、前年比0.4%の微増となった。インターネット投票の加入者が急増するなか、GI馬6頭を含む好メンバーが揃い、中山競馬が降雪のため3レース以降中止になったことも売上げを伸ばす要因になったのかもしれない。