Overseas ReportBACK NUMBER
アスリートの社会的責任を考える。
コロナ危機にNBAは鋭く反応、他は?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2020/03/20 11:40
社会貢献の文化が根付くアメリカでも、競技によって反応は違う。NBAに続く組織や選手が出てきてほしい。
カリーは子供たちの食事を寄付。
日本でもファンの多いステフィン・カリーは、カリフォルニア州オークランドの団体と協力して、子供たちに無料の食事を100万食、提供することを発表。
「オークランドの学校が休校になりますが、1万8000人の子供たちが、学校で提供される食事に頼っている状況です。子供たちが、次にいつご飯を食べられるのか不安になったり、仕事にいかなければならない親が子供たちの食事の心配をしなくていいように食事を提供します。みなさんもぜひご協力ください」と呼びかけた。
またNFLのシアトル・シーホークスのラッセル・ウィルソンも、感染の被害が大きいシアトルのフードバンクに100万食の食事提供を約束、同時に多額の寄付も行っている。
レッズの投手が草野球をしたが……。
一風変わった形で寄付活動を行ったのは、シンシナティ・レッズの投手、トレバー・バウアーだ。
チームメイトやマイナーリーグの選手たちに呼びかけ、3月15日の日曜日に草野球を行い、それをライブ中継。レッズの春季キャンプやシンシナティのスタジアムでアルバイトするスタッフの給料を寄付してほしい、と視聴者たちに呼びかけた。
米国では幼い頃から、自ら企画し、行動し、寄付活動をするように教わっている。そのためバウアーたちも「自分たちに今できること」を考え、草野球試合に至ったのだろうか。ちなみに試合は無観客という名目になっていたが、噂を聞きつけたファンが集まった。
草野球をしたニュースが出ると、多くのファンが「バウアーは最高だ」「草野球とはいい考えだ。開幕までずっとやってくれよ」などと賛成意見がほとんどだった。
しかし同じ日曜日にコミッショナーから「集団での練習は禁止。選手はこの状況をもっと真剣に受け止めて行動してほしい」という注意が各チームに送られていた。
善かれと思っての行動だったはずだが、影響力の大きい選手たちが、野球少年やファンたちに「自分たちも同じようにしていいのではないか」というメッセージを送ってしまった可能性もある。