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アスリートの社会的責任を考える。
コロナ危機にNBAは鋭く反応、他は?
posted2020/03/20 11:40
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
AFLO
新型コロナウィルスの影響で、米国のメジャースポーツがリーグ中断、開幕延期になってから早1週間。
NBAユタ・ジャズの選手の感染が発覚し、NBA、NHLはリーグ中断、大学スポーツは中止、MLBは開幕延期、男女ゴルフやテニスも中断状態になっている。
「スポーツで世界に力を」というのは難しい状況下、選手は様々な方法で社会貢献を果たしている。
そんな混乱の中で、最初に立ち上がったのが、NBAのクリーブランド・キャバリアーズのケビン・ラブ。本拠地で働くスタッフの給料に10万ドル(約1000万円)を寄付し、「ほかの選手も立ち上がってくれることを願っている」と呼びかけた。
NBAは3月11日にシーズン途中でリーグ中断を発表。各チームの本拠地アリーナで働くスタッフは仕事がなくなる事態に陥った。彼らの多くは試合開催日に時給で雇われているアルバイトで、生活保障もない。
ラブの行動に賛同した選手たちが続々と現れ、デトロイト・ピストンズのブレイク・グリフィン、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボが各々10万ドルを寄付。
アデトクンボの行動にバックスもすぐに反応し、「パートタイムで働くスタッフの給料として、我々はアデトクンボの金額にマッチします」と発表。
またルーキーのザイオン・ウィリアムソンは1カ月分の給与を自分がすべて払うことをSNSで約束。
アジア人、中国人へのメッセージも。
ちなみにリーグの最初の感染者になってしまったルディ・ゴベアは、ユタ・ジャズの対戦相手だったオクラホマシティ・サンダーのスタッフの給与、また2つの州のコロナウィルス対策、また母国フランスの医療対策費用として50万ドル(5000万円)の寄付を発表した。
中国の北京ダックスでプレーするジェレミー・リンはウィルス対策のために中国、そして米国のユニセフにそれぞれ15万ドル、また武漢市に15万ドル分の医療器具を寄付した。
NBAでのプレー経験を持つリンは、米国で今回の新型コロナウィルスで差別を受けるアジア人に対して一緒に戦おうという意味もあったと言う。
「愛は憎しみを溶かす。暗闇でも光は輝く。希望に向かう一員になろう」
そのメッセージは米国に住むアジア人、特に中国人に大きな勇気となったのではないだろうか。
NBAのラブの行動がきっかけとなったのか、NHLやMLBのチームや組織もそれぞれ支援の輪を広げている。