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唯一残る柔道・男子66kg級代表選考。
阿部vs.丸山、宿命の一騎打ち。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/03/14 19:00
2019年グランドスラム大阪大会の男子66kg級決勝で対戦した阿部一二三(右)と丸山城志郎(左)。
立ちはだかったのは丸山だった。
だが、そのまま進むことはできなかった。2018年11月、勝てば翌年の世界選手権代表に内定することになっていたグランドスラム大阪で準優勝に終わったのである。
立ちはだかったのは丸山だった。
大学時代は左膝前十字靱帯断裂の大怪我などの影響により成績は伸び悩んだが、社会人になり、徐々に実績を積み重ねてきた。特に内股の切れ味が鋭く、阿部同様、一本を獲り切る力を備えていった。
丸山が左膝内側側副靱帯損傷。
先に記したように2018年のグランドスラム大阪を制するとワールドマスターズ、さらには年が明けてからも国内外で優勝を重ねる。
阿部、丸山の2名が出場した昨夏の世界選手権では、準決勝で対戦し、丸山が勝利。決勝も一本勝ち、優勝を飾ったのである。
井上監督も「代表争いは丸山がリード」と語ったように、丸山が一歩先んじることになった。
しかし、丸山もそのまま決めることはできなかった。
昨年11月のグランドスラム・大阪では阿部がリベンジを果たす。丸山は世界選手権で右膝を負傷、練習再開が大会のひと月ほど前という影響もあった。
この時点でも、井上監督は丸山がリードしているとしたが、今年2月、グランドスラム・デュッセルドルフを丸山は左膝内側側副靱帯損傷の怪我により欠場。阿部が優勝し、ついに対等の位置へと戻し、今回の大会を迎える。
丸山にとっては左膝、阿部にとっては今年2月グランドスラムで脱臼した左手の親指。その怪我の回復具合も勝負に影響を及ぼす要素だ。