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唯一残る柔道・男子66kg級代表選考。
阿部vs.丸山、宿命の一騎打ち。
posted2020/03/14 19:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
毎回、柔道の五輪代表の多くが決定してきた全日本選抜体重別選手権。
今年も4月初旬にあたる4日と5日に福岡国際センターで行われるが、これまでのオリンピックイヤーとは様相が異なる。
まずはコロナウィルスの影響により、無観客での実施となることが3月6日に発表された。選手の所属先などの応援団が駆けつけ、熱い声援が響く光景は、今年は、ない。
何よりも、東京五輪代表選考基準に基づき、ほとんどの階級はすでに代表が発表されたあとの開催であることが、これまでと異なる。
実績、実力が高いレベルで拮抗。
ただし、残された1枠の代表争いは、それを打ち消すほどの注目を集めている。
男子66kg級だ。代表候補は丸山城志郎、阿部一二三に絞られている。
「勝ったほうが代表という見方でいいと思います」
日本男子代表の井上康生監督がこう語っているように、全日本選抜の結果に代表の行方がかかっている。
それはここまで重ねてきた実績、実力が伯仲していることを示している。
しかも、高いレベルで拮抗している。
この階級の五輪代表に近いと思われていたのは、もともとは阿部だった。
2014年、グランドスラム東京で国内外の並みいる実力者を撃破。男子では史上最年少の17歳118日でグランドスラム大会優勝を遂げ、大きな注目を集めた。
2016年、全日本選抜体重別選手権を制したが、実績の面からリオデジャネイロ五輪代表にはなれなかった。
その悔しさをばねにし、2017、2018年と世界選手権を連覇。豪快な一本を獲る内容とともに、海外からも絶賛されるに至った。