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錦織と西岡欠場でデ杯3連敗の屈辱。
内山靖崇の悔しさは次に生きるか。
posted2020/03/09 20:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Hiromasa Mano
国別対抗戦というのは本当に何が起きるか分からない。デビスカップ決勝ラウンド進出を懸けた予選(兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム)で、日本はエクアドルに0-3とまさかの完敗を喫した。
国別ランキングでは、日本の17位に対しエクアドルは27位。選手個々のランキング(シングルス)でも戦力差は明らかだった。
日本には31位の錦織圭、90位の内山靖崇とトップ100プレーヤーが2人いて、添田豪も117位で追いかける。エクアドルの最上位は151位のエミリオ・ゴメス、200位以内は彼一人で、2番手のロベルト・キロスが276位、3番手の選手は300位台だった。
エクアドルは米国経由の長いフライトで、新型コロナウイルス感染拡大で騒然とする日本にたどり着いた。この渡航には大きなリスクがあった。
感染の可能性に加え、日本に滞在した選手が次の遠征地に向かえば入国が制限される恐れもあった。実際、主力選手のゴメスも「少し心配していた」と打ち明け、メンバーの家族にも不安の声があったという。しかし、チームは日本に針路を定め、中立国での開催などの代替案を国際テニス連盟(ITF)に求めることをしなかった。
「国のために日本に行くと決断」
リスクを冒して来たからには手ぶらでは帰れない。彼らの思い、決死の覚悟は容易に想像できた。
エクアドルは日本も出場した昨年の決勝ラウンドに出場できなかった。それどころか、2010年にワールドグループ1回戦でクロアチアに敗れ、入れ替え戦でもルーマニアに完敗してから、一度も地域ゾーンを抜け出せていない。
ラウル・ビベル監督は来日後最初の記者会見で「国のためにデ杯に参加し、決勝ラウンドに進むことが大事だったので、日本に行くと決断した」と力強く語った。
つまり、選手と監督が異口同音に挙げたチームの特徴「一致団結」をより堅固にする条件が2つそろっていたわけだ。このことが、彼らからランキング以上のプレーを引き出した。