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リオ金・土性沙羅が東京五輪切符。
無観客にも動揺せず、リラックス。

posted2020/03/09 20:30

 
リオ金・土性沙羅が東京五輪切符。無観客にも動揺せず、リラックス。<Number Web> photograph by JWF/Sachiko HOTAKA

報道規制もかかる中、森川美和とのプレーオフを制した土性沙羅(左)。万全ではないコンディションで迎えた一戦だったが、東京五輪行きを決めた。

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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JWF/Sachiko HOTAKA

「ここまで負けてしまったら、もうやるしかない」

 昨年9月の世界選手権に続き、同年12月の全日本選手権でも敗れた土性沙羅(東新住建)は、3月8日に行われた女子68kg級代表決定プレーオフに腹を括って挑んだ。

 当初この一戦は観客を入れて別会場で行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を避けるため、二転三転の末にレスリングの強化合宿の拠点である「味の素トレーニングセンター」で無観客試合として行われることに。今回はマスコミの入場も規制され、協会広報と一部のテレビ局以外は会場に入れないという物々しさの中で行われた。

 選ばれし者もマスク着用はもちろん、入場前には体温測定や薄いゴム手袋の着用が義務づけられるなど、感染拡大防止策は徹底されていた。

リラックスして臨む土性。

 試合開始は午後12時30分。出場する選手たちは1時間ほど前からアップを始めた。観客がいないせいだろうか。会場となったレスリング場はいつもと変わらぬ空気が漂っていた。それでも開始30分ほど前になると、自然と緊張感が増してきたように思えた。

 そうした中、土性はいつも以上にリラックスしているように見えた。時間が経つごとにアップに熱が入る森川美和(日本体育大)を尻目にマイペース。セコンドについた川井梨紗子に髪の毛を整えてもらうなど、いつもと変わらぬ時間を過ごしていた。

「正直、緊張もしていたけど、体が動かなくなるほどの緊張はなかった」

 お世辞にも体調は万全とはいえなかった。リオデジャネイロ・オリンピック後は左肩のケガに悩まされ手術に踏み切ったが、昨年はヒザを故障してしまい、得意とするタックルのフォームを崩してしまった。  

 今年1月の時点では、ヒザはまだ完治にほど遠い状態だったと振り返る。

「おかげで、なかなかレスリングをしっかりするような練習ができなかった」

【次ページ】 あえて2週間マットから離れた。

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