マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
セの新人王は「この男」と予想する。
巨人で戸郷翔征が2ケタ勝つ可能性。
posted2020/03/10 11:40
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
世の中も野球界もここのところ憂鬱な話題ばかりなので、景気づけに、ちょっと早いが、今季のプロ野球「新人王」を占ってみようかと思う。
3月に入り、オープン戦もたけなわになって、徐々に見えてきた各チームの今季の戦力地図。
とりわけ、新人王の資格を持つような新鋭、ルーキーは1試合ごとに結果に波があって、実力が捉えにくい。
そんな中、“本質”としてこの選手はやっぱりプロだな……と、キラッと輝くプロ野球選手の資質を見せている新鋭、ルーキーを挙げてみたい。
まず、「セ・リーグ」からいこう。
入団2年目の巨人・戸郷翔征(宮崎・聖心ウルスラ学園)が、やはり台頭してきた。
3月1日、ヤクルトとのオープン戦。先発としてオープン戦に初登板した戸郷翔征は、ほぼベストメンバーのヤクルト打線を相手に、5回を2安打に抑えて6三振を奪い、後続にマウンドを譲った。
やはり台頭してきた、と言ったのには訳がある。
2018年の8月、「こいつはやれる!」、確信した場面があった。
小園、根尾、藤原を相手に。
U-18ジャパンチームの壮行試合のあった宮崎・サンマリンスタジアム。
「宮崎選抜」の投手として初回からリリーフのマウンドに上がり、4イニング3分の1を投げた戸郷翔征が、小園海斗(報徳学園)、根尾昂、藤原恭大(大阪桐蔭)……高校球界選り抜きの強打者居並ぶ「U-18ジャパン」から9三振を奪ってみせたから驚いた。
驚いたのは、三振の数じゃない。ドラフト1位候補がズラリと並んだ打線を向こうにまわして、一歩も退かないどころか、逆に球威と気迫で「U-18ジャパン」を完全に圧倒しきったその投げっぷりのほうだ。
当時、この連載でもその存在は伝えたし、その後ドラフト会議までの間に、さまざまなメディアで、「戸郷恐るべし!」を伝えたものだ。