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『幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで』時代に翻弄された「五輪返上」の悲劇と苦悩を丹念に描く。 

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後藤正治

後藤正治Masaharu Goto

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posted2020/01/29 08:00

『幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで』時代に翻弄された「五輪返上」の悲劇と苦悩を丹念に描く。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで』橋本一夫著 講談社学術文庫 1994年刊、2014年文庫化 960円+税

 1940(昭和15)年の第12回オリンピックの東京開催が決まったのは、この4年前、ベルリン大会時のIOC総会においてである。日本中がわき立つ朗報であったが、内外ともに難問が山積し、やがて「返上」を余儀なくされる。

 著者は長くスポーツ報道にたずさわった元NHKの記者。本書は返上劇の迷走を追ったものであるが、当時の資料や証言を丹念にたどって、政治に翻弄された幻の五輪を描き出している。

 五輪誘致を言い出したのは東京市で、「紀元二千六百年」記念をお題目とした。大日本体育協会(体協)とともに構想を具体化させていくが、組織や施設をめぐる両者の「反目」が続いた。

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